【2019年6月7日 ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)は本日、今年に入ってベネズエラに届けた保健・医療支援物資が55トンに上ると発表しました。最も影響を受けているカラカス首都区、ミランダ州、スリア州、ボリバル州、およびタチラ州の25カ所の病院に届けられた支援物資には、助産キット、抗生物質、マラリア治療薬が含まれます。
© UNICEF/UN0318550/Velasquez |
「国連による予備調査によると、ベネズエラの子どもの3分の1が、基本的な栄養、保健、教育分野のサービスを受けるために支援を必要としています」とベネズエラへの3日間の訪問を終えたユニセフ広報局長パロマ・エスクデロは述べました。「ユニセフは、30年近くにわたりベネズエラで活動してきました。国が壊滅的な政治・経済危機に見舞われる中、私たちは最も弱い立場に置かれた子どもたちに対して、彼らがどこにいようとも、必要としている支援を届け続けていきます。子どもたちのニーズは、いかなるときであっても政治より優先されるべきものです」
ユニセフは、ベネズエラの現状が、子どもたちが必要不可欠なサービスを受けにくくし、彼らの脆弱性を高めており、この数十年の努力による進展が後退していることを憂慮しています。公式・非公式のデータを基に国連が行った推計は以下のとおりです。
エスクデロは、カラカス首都区郊外の保健ケアセンターで、保健員や母親たちと会い、彼らが医療ケアを提供あるいは受けるために、日々直面している難題について聞きました。
「私が話をした人たちは、国の保健医療の状況が極めて厳しい状態にあることを語ってくれました」とエスクデロは言いました。「多くの医師や看護師が国を離れました、医療施設は、医薬品が不足しているために最低限しか機能していません。スペアパーツが不足しているために、移動保健チームと救急車が動けなくなっています。妊婦たちは、その多くが若く貧血症を抱えているにも関わらず必要なケアを受けることが困難です。燃料不足が深刻化しているため、保健施設に行くことすらできないことがあります。出産するために病院にいく妊婦は、出産に必要な物資を持参する必要があります。過去数十年の間に、目を見張るほどの保健ケアの質の向上を図った国にとって、現状は衝撃的なものです」
© UNICEF/UN0318539/Velasquez |
今回の保健物資の提供を含めると、ユニセフが過去1年間にベネズエラに届けた人道支援物資の総量は200トン近くになります。ユニセフは今年に入ってから、ベネズエラの両方の政治的立場にあるパートナー団体と協力して、以下の支援を行ってきました。
「私たちは、問題の僅か一部に対処しているに過ぎません」とエスクデロは言います。「何百万人もの子どもたちが、予防接種を受け、学校に通い、安全な水を飲み、守られていると感じる必要があります。ユニセフは支援の規模を拡大する計画を立てていますが、子どもたちが必要としている支援を届けるためには、より柔軟性の高い資金が必要です。
ユニセフは、コロンビアおよびブラジルとの国境近く数カ所に事務所を構え、ベネズエラで活動する最大規模の援助機関のひとつとして、支援を拡大しています。
ユニセフがより多くのワクチンを提供し、水と衛生施設を修復し、栄養不良の治療や医療物資を提供し、子どもたちの将来と幸福に必要不可欠な教育と保護を確実に得られるようにするための支援計画を実施するには、より多くの資金が必要です。
「私たちは必要とする子どもたちに質の高い支援を、適切な時期に確実に届ける決意がありますが、私が規模を拡大し、支援現場でのモニタリングを強化するためには、資金援助に頼るしかないのです」
【関連ページ】
シェアする