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日本ユニセフ協会
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コンゴ民主共和国
エボラ孤児が急増 1年間で1,380人に
ユニセフ、子どもへの支援急務と訴える

【2019年8月13日  キンサシャ(コンゴ民主共和国)、ダカール(セネガル)、ジュネーブ、ニューヨーク発】

コンゴ民主共和国では、エボラ出血熱の流行により、親を亡くした、あるいはおとなの同伴者のいなくなった子どもの数が、今年4月以降で2倍以上に増えています。特にイツリ州や北キブ州といった流行地域において、これまで以上に専門的なケアを提供していくことが、急務となっています。 

エボラ孤児が急増、1年間で1380人に

両親が、エボラの治療を受けているため、ブテンボにある子どもケアセンターで一時的に保護されている子ども。(2019年8月2日撮影)

© UNICEF/UN0311503/Tremeau

両親がエボラの治療を受けているため、ブテンボにある子どもケアセンターで一時的に保護されている子ども。(2019年8月2日撮影)

ユニセフ(国際児童基金)とパートナーは、流行が始まってからこの1年の間に、エボラ出血熱への感染により一方のあるいは両方の親を亡くした子ども、1,380人を孤児として登録しました。

また同期間に、2,469人の子どもが、親あるいは養育者から引き離されました。おとなが検査や治療を受けている間、子どもだけが取り残されたり、感染者と接触したとの疑いから、子ども自身が隔離されたりしているのです。

「この病気は、特に子どもたちを苦しめています」と、ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所子どもの保護部門チーフのピエール・フェリーは語りました。「子どもたちがいま経験しているのは、目の前で親が息を引き取ったり、大切な人たちが、戻ってくるのか、戻ってくるとしてもそれはいつなのか不確かなまま、治療所へ連れて行かれたりする状況なのです。そして、悲しみや不安と闘いながらも、幼い兄弟たちが少しでも安心できるように世話もしなければなりません。多くの子どもたちが、差別にあい、汚名を着せられ、孤立しています」

ユニセフは、パートナーやコミュニティと緊密に連携し、こうした状況下にある子どもたちをいち早く見つけ出し、広範囲に及ぶ身体的、心理的、社会的なニーズに応えるための支援を行っています。

これまでに、ユニセフは、親を亡くしたり離れ離れになった子どもたちへの個別のさまざまな支援に対応するために、心理社会的ケア・アシスタントや心理学者、906人に研修を実施しました。

「彼らは、影響を受けているコミュニティの一員であるため、支援者として最も頼もしい存在です」とフェリーは話します。「おかげで、危険な差別や誤った情報の蔓延を軽減し、コミュニティ内での当事者の受け入れや参加を促すことができました。これは蔓延を止めるために不可欠なことです」

おとなの同伴者のいない子どもたちに対し、心理社会的ケアチームは、食料、心理的支援、物資を含めたケアを献身的に行っています。ユニセフは、流行地域のエボラ治療センターの隣に3つの保育所を運営し、そこでは、免疫をもっているエボラからの生還者たちが、親や養育者が完治するまでの間、乳児や幼い子どもの面倒をみています。

長期的なケアが必要

親を亡くした子どもたちに対しては、長期的なケアが必要になります。心理社会的ケア・アシスタントは、面倒をみてくれる親戚や里親を探していますが、自分たちの子どもに加えてもう一人子どもを育てることへの経済的な負担や、病気への感染や病気に関係することへの不安が広がっていることから、難航しています。実際、食料、学費、その他の基本的な必需品への経済的な支援に加え、仲介するにあたってのきめ細やかな対応が必要とされます。支援内容については、それぞれの子どもや家族にとって、最も緊急に必要とされていることを優先して決められます。

すべての子どもたちが、喪失、汚名、孤立といった影響をできる限り軽減するための、心理社会的支援を必要としています。だからこそ、ユニセフは、エボラ流行地域において、子どもの保護プログラムを迅速に拡大するために活動しています。

「エボラ出血熱により親を亡くした、あるいはおとなの同伴者がいない子どもの数は、感染症の蔓延と同じ速さで増え続けています」と、ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所代表エドゥアルド・ベイグベデルは述べました。「こうした弱い立場に置かれた子どもたちへのケア、特別な支援、資金を維持していかなければなりません」。

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