【2019年10月11日 パナマ発】
ラテンアメリカとカリブ海諸国の若い女性の4人に1人が18歳になる前に初めての結婚、または結婚に相当する状態を経験しています。この割合は過去25年間も変わっていません。今日、ユニセフが発表した報告書「ラテンアメリカとカリブ海諸国の児童婚(原題:A Profile of Child Marriage and Early Unions in Latin America and the Caribbean)」によれば、この傾向がこのまま続くと、この地域は2030年までに、サハラ以南のアフリカに次いで児童婚率が世界で最も高い地域のひとつになってしまいます。
子どもの結婚やそれに相当する状態は人権侵害であるにもかかわらず、この地域では今も見られ、特にドミニカ共和国、ニカラグア、ホンジュラス、ベリーズでは、20歳から24歳の女性の30パーセント以上が、18歳未満で結婚、またはそれに相当する状態を経験しています。
「児童婚によって、女の子たちは人生計画を持つことが難しくなります」と、ユニセフ・ラテンアメリカとカリブ海諸国地域事務所代表のバーント・アーセンは述べました。「私たちは彼女たちの失われた可能性や忘れられた権利をこれ以上見ないふりはできません」
報告書で明らかになったデータによると、この地域の子どもの花嫁は、農村部の貧しい家庭で育ち、教育へのアクセスが少ない傾向にあります。さらに、こうした児童婚は多くの場合、正式な婚姻ではありません。
この慣習は、子どもの花嫁の人生と成長に致命的な結果をもたらします。子どもの間に結婚した女性の多くは18歳未満で出産し、10人のうち8人以上が20歳未満で出産しています。さらに、18歳未満で結婚する若者は十分な収入を得られる職に就くことが難しく、貧困と排除の悪循環に晒されます。
© UNICEF DOMINICAN REPUBLIC/2017-2100/GARCIA |
「いま私たちが児童婚に対して行動しなければ、少女たちの現在と未来は危険にさらされます。なぜなら、早く母親になる可能性が高くなり、パートナーから暴力を受けやすく、そして学校を辞めざるを得なくなるからです」と、ユニセフ・ラテンアメリカとカリブ海諸国地域事務所の地域ジェンダーアドバイザーであるシェリー・アブドールは話します。「この連鎖を止めなければ、これまでの25年間ずっと同じだったように、この先も何世代にもわたって連鎖が繰り返されます。この不平等の再生を前に、私たちはいつまで黙っているつもりなのでしょう」
データは少ないものの、報告書は暴力と児童婚の関係性も強調しています。比較可能なデータを持つ4カ国で、パートナーの暴力についての報告は、18歳以降に結婚した女性より18歳未満で結婚した女性から多く報告されています。リプロダクティブ・ヘルスに関しては、地域全体で約25パーセントの若い女性が、現代的な方法で家族計画ができていないと答えています。
この歴史的傾向を覆すため、ユニセフは国連人口基金(UNFPA)や国連女性機関(UN Women)、地域のパートナー団体と共に取り組んでいます。3機関は、解決策の中心に女の子と若者を据え、次の行動を呼びかけています:国内の枠組みを国際基準に合わせていくこと、女の子と若者をエンパワーしジェンダーに関する伝統的規範を変えること、児童婚やそれに相当する状態を防ぐ政策やサービスを促進すること、そしてすでに影響を受けている若者の証言や事例をもって、国や地域レベルで沈黙を破ること。
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