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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

コンゴ共和国
「光の女性たち」が子どもを栄養不良から守る 遠隔地における啓発活動の取り組み

【2019年10月14日  ムバンザ(コンゴ共和国)発】

ヴェロニーク・エティマさんは、村の子どもたちのことを心配していました。彼女の姪が亡くなる前と同じ症状を見せていたからです。

最初はただ戸惑うばかり

「最初は何が起こったのか分かりませんでした。でも、村の多くの子どもたちが同じ症状を見せていました」と彼女は、コンゴ共和国北部のリクアラ地方の森の奥深くにある先住民の小さな村であるムバンザについて話します。「だから、学ぶことを決めました。亡くなった原因が栄養不良だったことに気づいたのは、その時です」

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©UNICEF/UNI212587/Tremeau

リクアラ地方では、子どもの約3人にひとりが慢性的な栄養不良の影響を受けています。そんな中で、村で「ヴェロニークママ」と呼ばれている彼女は、何が起こっているのかを理解し、ムバンザの子どもたちの運命を変えようと決心しました。彼女が栄養について学んだ知識は、自身の赤ちゃんの健康を守ることに役立つだけでなく、未来の命を支えるための知恵として他の家族と共有することができました。

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©UNICEF/UNI212589/Tremeau

人里離れた村の「光の女性たち」

コンゴ北部のヴェロニークさんの村ムバンザは、首都ブラザヴィルの北約1,300キロメートルの緑豊かな森林に囲まれています。首都からは、2日以上かけて、でこぼこの道を進み、川を渡ってようやくたどり着きます。コンゴ共和国の最も人里離れた遠隔地の一つです。

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©UNICEF/UNI212591/Tremeau

ヴェロニークさんは、13か月の息子のイシドールちゃんを抱っこしながら栄養不良のスクリーニングに参加します。姪を亡くした後彼女は、村の親たちが栄養不良で子どもを失うという悲しみを決して経験することがないよう、必要なことは何でもすると決意しました。

彼女は、2007年に設立された、Lutte Contre la Malnutrition(ALCM)というコミュニティ単位で活動する団体のことを聞いてすぐに、その団体の中のグループで子どもたちの栄養不良に取り組むために訓練された女性たちによる「光の女性たち」(Femmes Lumières)のメンバーになり積極的に活動をし始めました。

限られた食材で栄養豊富な食事を

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©UNICEF/UNI212596/Tremeau

コンゴ共和国の先住民コミュニティは、狩猟、漁業、または森林で採取できるものに食料を依存しているため、多くの人が限られた食生活を送っています。一方で、ヴェロニークさんが家族のために準備する食べ物のほとんどは、森のなかにある畑で栽培し、収穫した作物を調理したものだといいます。

 

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©UNICEF/UNI212593/Tremeau

ヴェロニークさんは、いくつかの作物を育てています。彼女が今育てている作物や地元で入手可能な食材は、野生のホウレンソウ、キャッサバ、メロン、ピーナッツ、大豆、ヤムイモなどで、伝統的な狩猟や漁業から得られる食料を補完しています。

 

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©UNICEF/UNI212586/Tremeau

食材の種類が増えることで、家族のためによりバランスの取れた食事を作ることができるようになります。「私は、さまざまな種類の食材があることを知りました。それらを一緒に食べることで、子どもたちを守り、食べ物からエネルギーを得ることができるようになります」と彼女は言います。

 

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©UNICEF/UNI212594/Tremeau

息子と他に面倒を見ている2人の子どもと一緒に座り、食べる様子を見守るヴェロニークさん。自分の息子が健康に育っていることだけでなく、村の他の子どもたちが健康でいられるようサポートできることをうれしく思っています。

 

料理教室を通じて、栄養の知識を広める

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©UNICEF/UNI212592/Tremeau

ヴェロニークさんは、親たちのために料理教室を開き、市場で入手可能なもので健康的な食事を準備する方法を学ぶ手助けをしています。栄養不良率は、地域に住む脆弱な先住民の人々の間で特に高く、彼らは基本的な医療サービスや栄養などの情報さえもほとんど得ることができません。

 

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©UNICEF/UNI212590/Tremeau

「光の女性たち」のメンバーも、近くの町ベトゥで栄養不良についての啓発活動を主導しています。ヴェロニークさんはポスターを掲げながら、これまでに彼女が学んだことはとても有益で、今ではいくつかの教室をおこなっていますと説明します。

「私は、生後6カ月までの母乳が、母親が乳児のためにできる最善のことであると学びました。また、栄養不良に取り組むために衛生がいかに重要であるかを学びました」と彼女は言います。

 

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©UNICEF/UNI212588/Tremeau

「光の女性たち」のメンバーが、健康的な食事を準備する方法を実演して見せています。 ALCMは、衛生に関する情報を共有し、予防接種を含む、栄養や保健面での支援を届けるための移動診療所の開設など、さまざまな活動を行っています。また、ユニセフが提供する製粉機を使用して大豆を加工するなど、食料生産の多様化と収入の創出を支援するコミュニティ主導の農業イニシアチブを提供しています。

 

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©UNICEF/UNI212595/Tremeau

料理の実演はおとなだけを対象としているのではなく、子どもたちも参加します。

 

栄養不良の子どもが減少へ

「少しずつ、状況は変わってきています」とヴェロニークさんは言います。これらのイニシアチブは、地域の子どもたちの健康を支えるのに役立っていると強調しながら、続けてこう述べました。「栄養不良の兆候のある子どもは段々と減ってきています」

「やるべきことはまだありますが、村の人々は、行動を変えることで、子どもたちがより良い未来を手にすることができるようになることを理解し、受け入れています」

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