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日本ユニセフ協会
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カメルーン
学校に通えない子ども、85万5,000人
公立小学校9割、公立中学校8割が休校 失われた世代を生まないために、行動を

【2019年11月5日  ダカール(セネガル)/ジュネーブ/ニューヨーク発】

カメルーンの北西部と南西部で続く3年間の暴力と不安定な情勢により、85万5,000人以上の子どもが学校に通えずにいると、ユニセフ(国連児童基金)は本日警鐘を鳴らしました。緊急の行動と、紛争当事者による教育環境を守るための取り組みがなければ、これらの子どもたちの未来は脅かされてしまうでしょう。

未来を取り戻すためには、平和が必要

紛争により3年間学校に通うことができなかったが、今は家事を手伝いながらユニセフの支援する学校に通うクラリッセさん。(2019年5月撮影)

© UNICEF/UN0329150/Bindra

紛争により3年間学校に通うことができなかったが、今は家事を手伝いながらユニセフの支援する学校に通うクラリッセさん。(2019年5月撮影)

「カメルーンの何千人もの子どもたちが恐怖に怯えながら暮らしています。教育を再開して未来を取り戻すためには、平和が必要です」と、ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。 「子どもが学校に通えないと、武装グループによる勧誘、児童婚、若い年齢での妊娠、その他様々な搾取や虐待のリスクが高まります」

新学期が始まって2カ月経った今、北西部と南西部の地域では公立小学校の約90%(4,100校以上)と公立中学校の77%(744校)が休校したままです。暴力を恐れ、親は子どもを学校に行かせず、教師やスタッフも出勤することが難しくなっています。

こうした子どもたちのうち、約15万人は家を追われた避難民で、より弱い立場に置かれ、心的外傷(トラウマ)を負っています。

教育は政治よりも優先されなければならない

2年前にボコ・ハラムの襲撃から生き延び、現在は牛を育てながらラジオを通じた授業を受けているブバくん。(2019年5月撮影)

© UNICEF/UN0329208/Bindra

2年前にボコ・ハラムの襲撃から生き延び、現在は牛を育てながらラジオを通じた授業を受けているブバくん。(2019年5月撮影)

ユニセフは、3万7,000人の学齢期の子どもに向けて読書用の本やその他の教材を調達しています。学校が休校している一部の地域では、子どもたちがこれ以上教育の機会を逃さないようにするために、コミュニティによる学習活動が始まっています。

さらに、家を出られずにいる子どもたちのために、ラジオ(無線通信)を使った読み書きと計算の授業を推進します。これらの英語による双方向の授業はユニセフの支援によって録音されており、子どもたちが算数や言語の勉強の遅れを取り戻せるよう、9カ月間の安全な学習プログラムを提供します。

ユニセフはまた、社会的結束などを含む教師のトレーニングや加速学習プログラムを実施し、カメルーンの子どもや若者が長期的に必要とする学力を身につけられるよう取り組んでいます。

ユニセフが支援する小学校で授業を受けるジマイマちゃん。(2019年6月撮影)

© UNICEF/UN0329164/Bindra

ユニセフが支援する小学校で授業を受けるジマイマちゃん。(2019年6月撮影)

「子どもたちが学習を続けられるよう、パートナーと連携し革新的な方法を開拓していますが、いまだ十分ではありません」とフォアは述べました。「教育は政治よりも優先されなければなりません。すべてのコミュニティ、武装グループ、政府当局に対し、あらゆる形態の教育を保護し、教師や教育関係者を尊重し、子どもたちが安全で守られた環境で学習できるようにすることを求めます。もう時間を無駄にはできません。今行動しなければ、コミュニティの再建を推し進める熱心で聡明な若者ではなく、失われた世代の若者を抱えてしまうでしょう」

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