【2019年11月15日 ダカール(セネガル)/ジュネーブ/ニューヨーク発】
30年前に子どもの権利条約が採択されて以来、世界の子どもたちを取り巻く状況は全般的に改善してきました。しかしながら、本日発表されたユニセフ(国連児童基金)の新しい報告書『岐路に立つ子どもの権利条約(原題:The Convention on the Rights of the Child at a Crossroads)』では、最も貧しい子どもたちの多くはいまだその恩恵を得られていないと指摘しています。
子どもの権利条約採択30周年を記念して発表された本報告書では、過去30年間における大きな成果に注目します。この成果は、政治的意志があれば子どもの生活は改善することを証明するものです。
「過去30年で子どもたちの置かれている状況は大きく進展しました。子どもたちがより長く、より良く、より健康に生きることができるようになりました。しかし、最も貧しく、最も弱い立場に置かれた子どもが直面する不平等は拡大し続けています」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「保健、栄養、教育の問題に加えて、今日の子どもたちは気候変動、ネット上の虐待、ネットいじめなどの新たな脅威と闘わなければなりません。イノベーション、新たな技術、政治的意志、そしてより多くの資金によってのみ、子どもの権利条約のビジョンをあらゆる場所のすべての子どもたちの現実に結び付けることができます」
© UNICEF/UNI227115/Dejongh |
過去30年間の子どもの権利の進歩について、報告書は次のように述べています。
一方で、この進展は世界各地で等しく起こったものではなかったと報告書は指摘しています。
本報告書では、世界の子どもたちに影響を及ぼしている長年の危機だけでなく、新しい脅威についても触れています:
© UNICEF/UNI225955/Pacific |
子どもの権利の進展を促し、これらの権利の一部の停滞と後退に対処するために、報告書はより多くのデータと証拠、実績のある対応策と支援の拡大、資金の増加、若者と共に解決策を見出すこと、そしてプログラムにおいて公平性とジェンダー平等の原則を適用することを呼びかけています。これらはすべて変化をもたらすために必要ですが、一方で急速に変化する世界では、新たな方法も必要とされているということ。また、それによって新たな機会と課題に立ち向かい、子どもたちの権利を再び世界的な大義として位置付ける必要があることも指摘しています。
これらの道筋を見つけるために、ユニセフはこれからの1年、すべての子どものために子どもの権利条約の約束を実現するために必要なことについて、世界中で対話を行おうと計画しています。子どもと若者、親や保護者、教育関係者とソーシャルワーカー、コミュニティと政府、市民社会、学術界、企業とメディアを含む、包括的な対話です。そして、それはさらなる先の道筋をも指し示すことになるでしょう。
「子どもの権利条約は、その輝かしい過去と将来の可能性との間の岐路に立っています。改めてその実現を誓い、確固たる措置を講じ、責任を負うか否かは私たち次第です」と、フォアは述べました。 「これまでにないほど自らの権利のために声をあげている若者たちを見習い、私たちも今、大胆かつ創造的に行動しなければなりません」
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