【2020年5月5日 ニューヨーク発】
2019年末時点、紛争と暴力により推定1,900万人の子どもたちが自国内で避難を強いられたと、ユニセフ(国連児童基金)は本日発表した新たな報告書で述べました。中には、複数年にわたって避難を強いられている子どもたちもいます。
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報告書『自国で避難する子どもたち』(原題:Lost at Home)では、国内避難民の子どもたちが直面するリスクと課題、そして子どもたちを守るために今必要とされる行動について説明しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数が世界で拡大を続けるなか、子どもたちはその直接的および間接的な影響に対して最も弱い立場に置かれています。
「世界各地で暮らす何百万人もの国内避難民の子どもたちは、従来から適切なケアと保護を受けられていません」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「COVID-19のパンデミックのように、新たな危機が発生すると、これらの子どもたちは特に弱い立場に置かれます。政府と人道支援パートナーが協力して、子どもたちの安全や健康を守り、学習を継続できるようにし、保護しなければなりません」
© UNICEF/UNI325083/Albam |
国内避難民の子どもたちは基本的なサービスにアクセスできず、暴力、搾取、虐待、人身売買のリスクにさらされていると本報告書は述べています。同時に、児童労働や児童婚、家族の別離のリスクにもさらされ、それらはすべて子どもたちの健康と安全に直接的な影響を及ぼします。
パンデミックによって、国内避難民の子どもとその家族が置かれている状況は、さらに深刻になっています。彼らは、過密状態のキャンプや非公式の居住地に暮らしている場合が多く、基本的な衛生設備および医療サービスを十分に利用することができず、人との物理的な距離を保つことができません。こういった状況は、COVID-19のような感染症の蔓延を非常に助長します。
© UNICEF/UNI321536/Fazel |
2019年、自国内で避難をした子どもたちの数は延べ1,200万人となりました。そのうち380万人は紛争や暴力によるもので、820万人は洪水や暴風雨などの自然災害によるものです。
ユニセフは本報告書を通じて、政府、市民、企業、人道主義者、子どもたち自身が、特にあらゆる形態の暴力、搾取および虐待など、子どもが避難を強いられる要因に対処するために、連携して取り組み、積極的な投資をするよう呼びかけています。
ユニセフはまた、アントニオ・グテーレス国連事務総長によって設置された「国内避難民に関するハイレベルパネル」の下で召集される各国政府に対し、国内避難民のすべての子どもとその家族に、保護および様々なサービスへの公平なアクセスを提供するため、具体的な行動を求めました。
この議題を実現するためには、国内避難による子どもと家族への影響についての共通の理解を深められるよう、年齢と性別で分類された、適切で入手可能なデータと証拠が不可欠です。そして、国内避難民の子どもと若者自身が、その議論に参加し、意見を尊重され、課題解決への努力の一端を担う機会を提供されなければならない、とも本報告書は述べています。
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