【2020年8月11日 カトマンズ発】
野性株ポリオウイルスが常在する最後の二カ国であるアフガニスタンとパキスタンにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により中断されていたポリオ予防接種キャンペーンが再開されました。中断していた数カ月の間は、5,000万人の子どもたちがポリオワクチンを接種できない状況でした。
© UNICEF/UNI309843/Frank Dejongh |
アフガニスタンでは、7月に3つの州でポリオ予防接種キャンペーンが再開されました。今月、国内のほぼ半分の地域を対象にした2回目のキャンペーンが開始される予定です。パキスタンでは、7月末に1回目の予防接種キャンペーンが行われ、約78万人の子どもたちが対象となりました。今月下旬から全国規模の予防接種キャンペーンが開始される予定です。
「子どもたちがさらなる健康上の緊急事態に陥ることを回避するためには、命を守るワクチンの接種が不可欠です。世界中でよく知られているように、ウイルスには国境はなく、すべての子どもが予防接種を受けて安全であると確認できない限り、どの子どもも安全ではありません」とユニセフ・南アジア地域事務所代表のジーン・ゴウフは述べました。
ポリオは感染力が強く、四肢の麻痺を引き起こし、時には命を落とすこともある病気ですが、ワクチンを接種することで予防することができます。特に感染しやすいのは5歳未満の子どもたちです。
子どもを対象にした、ポリオを含む予防接種キャンペーンは、子どもや保護者、予防接種担当者へのCOVID-19の感染リスクを避けるため、2020年3月にアフガニスタンとパキスタンの両国で中止されました。その結果、これまではポリオ感染がなかった地域での発生も含め、アフガニスタンでは34人、パキスタンでは63人のポリオ感染が報告されました。
© UNICEF/Pakistan/Waseem Niaz |
新たな予防接種ガイドラインの適用と、現場の保健員が感染予防のための保護具を使用することが、予防接種キャンペーンの安全な再開を支えると見込まれています。
しかしながら、両国の全地域の子どもたちに予防接種を届けるためのあらゆる努力が行われている一方で、アフガニスタンでは、保健員の戸別訪問ができない地域で暮らしていて、親に診療所に連れて行ってもらわなければ予防接種が受けられない最大100万人の子どもたちが、予防接種の機会を失ってしまうことをユニセフは懸念しています。
またパキスタンでは、予防接種の中断によって、ポリオの感染拡大と新たな地域での感染が確認されました。
「COVID-19の影響によって、ポリオとの闘いにおいて新たな挑戦と後退も経験しましたが、この伝染性疾患の根絶への取り組みは、再び軌道にのっており、私たちの手の届くところまで来ています。私たちは、両国政府とWHO、ロータリー・インターナショナル、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、GAVIアライアンス、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)などのパートナーとの協力のもと、そして最前線の保健員の献身的な活動によって、すべての子どもたちに手を差し伸べることを約束します」(ゴウフ代表)
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