【2021年9月16日 エチオピア、マダガスカル、南スーダン、イエメン発】
紛争、気候変動、貧困、そして最近では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって大規模な人道危機が生じ、多くの人々が飢きんの危機に直面しています。2021年6月、国連は43カ国で4,100万人が飢きんに陥る寸前にいることに警鐘を鳴らしました。エチオピア、マダガスカル、南スーダン、イエメンの4カ国では、すでに飢きんに近い状況が発生しています。
©UNICEF/UN055942/Gilbertson |
飢きんに対して最も弱い立場にあるのは子どもたちです。深刻な栄養不良に陥った子どもたちは、適切な治療を受けられないと、命を落とす可能性が高まります。生き延びられたとしても、幼い頃の栄養不良は脳や身体の発達に深刻な影響を及ぼすことも少なくなく、子どもの一生に影を落とします。
飢きんというと、食料不足を思い浮かべることが多いかもしれません。しかし、飢きん発生時に必要となる対応は栄養支援だけに留まりません。飢きんや食料不安に直面している子どもたちや家族にとって、安全な水や衛生的なトイレの支援は、食料と同じくらい非常に重要です。その主な理由を4点ご紹介します。
© UNICEF/UN065871/Alzekri |
安全でない水や不衛生な環境は、子どもの栄養不良を引き起こし、あるいは栄養不良の状態をさらに悪化させたりします。
「栄養不良の子どもがいくら食べ物を摂取しても、飲む水が安全でなければ、回復は出来ません」とユニセフ緊急支援局長のマニュエル・フォンテーヌは述べています。
安全でない水が引き起こす下痢は、子どもの生存に必要な栄養分を摂取することを妨げ、栄養不良につながります。また、栄養不良の子どもたちは、コレラなどの感染症にかかりやすくなります。世界の子どもの栄養不良の推定およそ半数のケースは、最低限の水や衛生設備さえ十分に利用できないことが要因とされています。
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気候変動や、干ばつ・洪水などの異常気象は、水資源を枯渇させ、あるいは汚染します。これにより、地域社会全体が依存している水の量、そして水質も脅かされます。水不足が深刻な地域に住む家族は、希少であったり安全でない水資源を取り合い、住む場所を追われ、病気にかかりやすくなったり、安全な暮らしへ脅威が高まります。
世界では、4億5,000万人の子どもを含む14億2,000万人以上の人々が、水に対する脆弱性が高い、または極めて高い地域に住んでいます。例えば、マダガスカル南部では、長期化する干ばつにより、深刻な食料不安、栄養不良や水系感染症の増加といった人道危機が発生しています。
© UNICEF/UN057031/Hatcher-Moore |
紛争は、食料や給水、保健システムに負担をかけ、飢きんの脅威を招く主な要因となることがよくあります。武力衝突の際、水への依存という人間の弱みにつけこんで、水資源や飲料水の給水システムが直接攻撃を受けることがあまりにも多く発生しています。
近年、ユニセフが対応した紛争に関する緊急事態のほぼすべてにおいて、意図的にせよ偶発的にせよ水インフラが攻撃されており、それによって水の利用が妨げられています。特に幼い子どもたちにとっては、このような障害が致命的な結果をもたらすことがあります。長引く紛争下においては、5歳未満の子どもにとって、安全でない水と衛生状態に起因する下痢性疾患で死亡する可能性は、紛争の暴力で死亡する可能性の20倍以上にのぼっています。
©UNICEF/UN057061/Abubakar |
戦闘や干ばつによって家を追われると、子どもたちや家族は、虐待などの危険や健康への脅威によりさらされやすくなります。
自宅を追われ移動する子どもたちは、安全でない水を飲まざるを得ないことがよくあります。トイレ施設のない仮のキャンプは、病気の温床となります。ただでさえ免疫力の弱い子どもたちが病気によりかかりやすくなり、避難している間は病院や保健センターに行けないことも少なくありません。
飢餓の危機にある4カ国で約920万人が避難生活をしています。
ユニセフは飢きんへの対応として、2020年には、緊急事態下や紛争の影響を受けた地域で暮らす3,910万人に安全な水を提供しました。また、避難民キャンプに毎日数千リットルの水をトラックで運び、病院やコレラ治療センターを支援し、都市部の大規模な水や衛生システムを修復するなど、様々な方法で子どもたちの命を守っています。下記は最新の支援事例の一部です。
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