2021年12月7日ジュネーブ/ニューヨーク発
ユニセフは本日、今後1年間の人道支援計画を盛り込んだ『子どもたちのための人道支援2022(Humanitarian Action for Children-HAC 2022)』を発表し、世界中で人道危機や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響を受けている1億7,700万人の子どもを含む3億2,700万人以上の人々に支援を届けるため、過去最高である94億米ドルの緊急資金を要請しました。人道支援ニーズの高まりにより、昨年の要請額よりも31%増加しています。
ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは「世界中の何百万人もの子どもたちが、紛争、異常気象、気候危機の影響を受けて苦しんでいます。COVID-19のパンデミックが始まって2年が経過し、子どもたちのこうした状況は、経済の低迷、貧困や不平等の拡大によってさらに悪化しています。最も大きな被害を受けているのは、いつも通り、すでに危機的状況にある子どもたちです。彼らには緊急支援が必要なのです」と述べました。
高まり続ける人道支援ニーズ
この要請額には、アフガニスタンにおけるユニセフの人道支援活動資金20億米ドルが含まれています。アフガニスタンでは1,300万人の子どもが緊急の人道支援を必要としており、そのうち100万人が保健・医療システムが崩壊寸前の状況の中で重度の急性栄養不良に陥っています。今回のアフガニスタンへの資金要請は、ユニセフの単一国に対する資金要請としては過去最高になります。
9億3,300万米ドルは、COVID-19の検査、治療、ワクチンなどの開発や製造、そして公平なアクセスを促進するための世界的な取り組みであるACT-A (Access to COVID-19 Tools (ACT) Accelerator)に割り当てられます。COVID-19のパンデミックは世界中の子どもたちの教育、保健、栄養、福祉を損ない続けており、それを制御するためには緊急支援が必要です。
増加し続ける子どもへの攻撃
ユニセフはまた、シリアの難民危機に9億900万米ドル、シリア国内の危機に3億3,400万米ドル、イエメンに4億8,400万米ドル、コンゴ民主共和国のプログラムに3億5,600万米ドル以上の資金支援を要請しています。
エチオピアでは1,560万人の子どもが人道支援を必要とし、北部では残虐な戦闘により数十万人の子どもが家を追われています。同国でのユニセフの活動には、3億5,100万米ドルが必要です。
子どもたちが生きるために必要不可欠な公共インフラへの攻撃を含め、紛争下の国に住む子どもたちへの攻撃は、驚くほど増加し続けています。昨年確認された子どもに対する重大な侵害行為は2万4,000件近くにのぼり、1日に72件のペースで発生していました。
2022年の人道支援計画
気候変動は、緊急事態の規模と程度を悪化させています。気候関連の災害の数は、過去30年間で3倍に増え、現在4億人以上の子どもが、水に対する脆弱性が高い、あるいは極めて高い地域に住んでいます。ユニセフは2022年の人道支援計画として、以下を目標として活動を行っていきます。
- 720万人の重度の急性栄養不良の子どもを治療
- 6,210万人の子どもにはしかの予防接種を実施
- 5,340万人が安全な飲料水、家庭用水を利用できるようにする
- 2,790万人の子どもと養育者がメンタルヘルスや心理社会的支援を受けられるようにする
- 2,130万人の子どもと女性がジェンダーに基づく暴力を受けるリスクの軽減、予防または支援を受けられるようにする
- 5,190万人を対象に、支援従事者からの性的搾取や虐待を通報するための安全で利用しやすい手段を提供する
- 7,710万人の子どもが就学前教育を含む、公式または非公式の教育を受けられるようにする
- 2,360万世帯が現金給付支援を受けられるようにする