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日本ユニセフ協会

お知らせ

子どもとの対話のヒント
紛争のニュースで感じる不安
否定せず、寄り添って

2022年3月3日発

紛争や戦争が話題になると、どこで暮らしていても、恐怖や悲しみ、怒り、不安といった感情が湧き起こります。子どもたちはなおさらです。

子どもと紛争について話すとき、お母さんやお父さん、子どもの身近にいるおとなは、どんなことに気を付けたら良いのでしょうか。また不安に思っている子どもにどのように接したらよいのでしょう。そのヒントをご紹介します。

1. 子どもが何を知っていて、どう感じているかを知りましょう

子どもたちはさまざまな方法でニュースを知ることができるので、彼らが見たり聞いたりしていることを確認することが大切です。まずは、子どもが何を知っているか、どんな気持ちかを聞いてみることから始めるとよいでしょう。ネットやテレビ、学校や友達から聞いた不正確な情報を訂正し、安心させる機会にもなります。

就寝直前は避け、家族で食事をしているときなど、子どもが自然に、自由に話しやすい時間や場所を選びましょう。

話さないけれど、不安を抱えている子どももいるでしょう。特に幼い子どもたちは、絵を描いたり、物語を読んだりすることが話のきっかけになるかもしれません。

紛争から遠い場所にいても、不安になるようなニュースや画像を繰り返し目にすることで、子どもたちは自分の身にも危険が及ぶのではないかと感じるかもしれません。危機がエスカレートしていくことに怯えているかもしれません。そのような子どもたちの心配を軽視したり否定したりしないことが大切です。不安を感じるのは、自然なことだと伝えてください。

例えば、「みんな死んじゃうのかな」というような極端な質問をされたら、そんなことはないと安心させるだけでなく、何を聞いたのか、なぜそのことを心配しているのかを探ってみてください。心配の原因がわかれば、安心させることができる可能性が高くなります。

 

2. 落ち着いて、年齢に応じた対応を

子どもには世の中で起こっていることを知る権利がありますが、おとなには子どもをつらいことから守る責任もあります。子どものことを一番よく知っているのはあなたです。年齢に応じた言葉を使い、反応を見ながら、不安の程度に配慮してください。

おとなも悲しいと感じたり、心配になったりするのは当然のことです。しかし、子どもはおとなから感情のヒントを得ていることを心に留めておき、子どもと不安を共有しすぎないようにしましょう。世界中で多くの人が、平和を実現するためにがんばっていることを伝えてください。

すべての質問に答えられなくたっていいんだ、ということも忘れないでください。子どもと一緒に調べる機会にしてもよいでしょう。信頼できる報道機関や、ユニセフなどの国際機関のウェブサイトを利用してみてください。ネット上には正確でない情報もあること、信頼できる情報源を見つけることの重要性を説明しましょう。

3. 偏見や差別ではなく、思いやりを広げましょう

紛争は、民族や国を問わず、偏見や差別をもたらすことがあります。子どもたちに話すときは、「悪い人たち」「悪」といったレッテルを貼ることを避け、その代わりに、故郷を追われた人々への思いやりなどを促す機会にしてください。

遠い国で起きている紛争であっても、身近なところで差別を助長することがあります。自分の子どもがいじめに遭ったり、加担したりしていないかを確認しましょう。学校で悪口を言われたり、いじめられたりした場合は、あなたや信頼できるおとなに話すように伝えましょう。私たちは優しさを広め、互いに支え合うためにそれぞれの役割を果たしていきましょう。

 

4. 支え合う行動に注目しましょう

子どもたちにとって、人々が勇気や優しさを持って助け合っていることを知ることは大切なことです。誰かのために行動している人や平和を呼びかける若者の姿など、前向きなストーリーを探してみてください。

子どもたちは何か行動したいと思っているかもしれませんね。平和のためのポスターを描いたり、詩を書いたり、あるいは地域の募金活動に参加したりできるかもしれません。どんなに小さなことでも、何かをしているという実感は、大きな安心をもたらすものです。

 

5. 会話を終えるときは丁寧に

会話を終えるとき、子どもが不安を抱えたままでいないかどうか、確認することが大切です。子どもの身振り手振り、声のトーン、呼吸の状態などをよく見て、子どもの不安の度合いを判断するようにしましょう。

心配なときは、いつでも話を聞くよ、そばにいるよと伝えてください。

 

6. 見守り続けましょう

紛争のニュースが続いている間、子どもたちの見守りを続けましょう。いまどんな気持ちでしょうか?新たな疑問や話したいことはないでしょうか?もしお子さんが心配そうにしていたら、腹痛や頭痛、恐い夢をみる、眠れないなど様子や気持ちに変化がないか注意してみてください。

子どものつらさのサインは見えにくいかもしれません。不機嫌になったり、強い悲しみや怒りを示したり、反応は様々です。これらは、つらい出来事に対する正常な反応です。長く続くようであれば、専門家のサポートが必要かもしれません。

一緒にゆっくり深呼吸をしてみましょう。そして、子どもが話したいときにすぐに聞いてあげられるようにしておきましょう。就寝直前であれば、最後に好きな絵本を読むなど、前向きな気持ちで終えると、ぐっすり眠れますね。

 

7. ニュースに触れすぎていませんか?

不安になるような見出しや画像でいっぱいのニュースに、子どもがどのくらい触れているのかに気を配りましょう。幼い子どもの前では、ニュースのスイッチを切ることも必要かもしれません。子どもがニュースを見る時間や、どの情報源を信用するかなどを子どもと話し合う機会を設けるとよいでしょう。また、子どもが聞こえる範囲にいるときには、おとな同士の会話にも気を配りましょう。

 

8. 自分のことも大切に

子どもたちを支えるには、あなたの心が落ち着いていることが大切です。子どもたちは、ニュースに対するあなた自身の反応を読み取ります。

不安や動揺を感じたら、自分のための時間をとり、他の家族や友人、信頼できる人と話しましょう。常にネットに接続しているのではなく、1日の中で時間帯を決めて、ニュースをチェックするようにしましょう。できる限り、リラックスして元気を取り戻す時間をつくりましょう

※挿絵はすべて©UNICEF

 

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