2022年3月12日サヌア(イエメン)/アデン(イエメン)/ローマ/ニューヨーク発
ユニセフ(国連児童基金)、国連食糧農業機関(FAO)、国連世界食糧計画(国連WFP)は、イエメンでは、今や1,740万人が食料支援を必要とし、緊急レベルの飢餓に苦しむ人の数は増加の一途をたどっており、悲惨な食料危機がさらなる大惨事へ向かっていると、警鐘を鳴らしました。
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史上最悪の飢餓
3機関は、イエメンに関する最新の総合的食料安全保障レベル分類(IPC)分析が本日(14日)発表されたことを受けて、今年の6月から12月の間に、イエメンの人道状況はさらに悪化し、最低限の食料ニーズすら満たすことができない可能性が高い人々の数は、過去最高の1,900万人に達するだろうと警告しました。
同時に、緊急レベルの飢餓に苦しむ人の数は、今後さらに160万人増え、年末までに合計730万人にのぼることが予想されると指摘しました。
本日発表されたIPC報告書では、5歳未満児の急性栄養不良が依然として高い水準にあることも示されています。イエメン全域で220万人の子どもが急性栄養不良に陥っており、そのうち50万人近くは命を脅かすほどの重度の急性栄養不良に直面しています。また、約130万人の妊産婦も急性栄養不良に苦しんでいます。最も状況が深刻なのは、ハッジャ州、ホデイダ州、タイズ州です。重度の急性栄養不良に陥った子どもたちは、治療食の支援を受けなければ命を落とす危険性があります。
飢きんレベル5倍増の予想
紛争こそが、イエメンにおける飢餓の根本的な原因です。紛争の副産物である経済危機と通貨の下落によって、2021年の食料価格は2015年以降の最高水準へと高騰しました。ウクライナでの紛争がイエメンの食料輸入に多大な影響を与え、食料価格をさらに引き上げることも予想されます。イエメンは食料をほぼ全面的に輸入に依存しており、小麦輸入の30%がウクライナからなのです。
最新のデータのきわめて憂慮すべき点は、破滅的なレベルの飢餓(IPCの5段階のうち最も深刻なフェーズ5、飢きん)にある人の数が、現在の3万1,000人から2022年後半には16万1,000人にまで、5倍に増加すると予測されていることです。
危険にさらされる子どもたちの命
国連WFPは資金不足のために、今年初頭に800万人への食料配給の削減を余儀なくされました。これにより、各家庭は国連WFPが基準とする1日の最低食事量の半分をかろうじて受け取っているという状況におかれています。いまにも飢きんのレベルに陥る危険性のある500万人には、引き続き完全な食料配給が行われています。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「イエメンでは、日に日により多くの子どもたちが空腹のまま眠りにつくようになっています。子どもたちはますます、身体的・認知的な障がい、さらには命の危険にさらされています。イエメンの子どもたちの窮状を、これ以上見過ごすことはできません。これは、生死に直結する問題なのです」と述べました。