2022年4月6日ロエ(コンゴ民主共和国イトゥリ州)発
ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは、コンゴ民主共和国(DRC)東部で続く暴力行為を一刻も早く止めるため、政治的解決策を求めました。これに先立ちラッセルは、民間人への攻撃が激化しているイトゥリ州を訪問していました。
ユニセフ事務局長が訪問
ラッセルはイトゥリ州で、紛争や暴力行為によって国内避難民となった推定6万3,000人(うち子ども3万6,000人)が暮らすキャンプがあるロエ(Rhoe)を訪れました。このキャンプに避難している人々の多くは、昨年11月まで、近郊の町ドロドロにある別のキャンプに滞在していましたが、同地はナタを持った男らに襲撃されたため、ロエまで逃げてきたのです。この事件は、数十年にわたり同国東部を苦しめてきたコミュニティ間の暴力行為の最新の例であり、これまでに合わせて約500万人が避難を余儀なくされています。
ラッセルは、暴力の被害を受けた子どもやその家族から話を聞きました。14歳の少年、ブルクワさんは、ドロドロで辛うじて命は助かったものの、彼の親友は、目の前で残酷に殺されてしまいました。
ラッセルは、「親友が殺されるのを目撃した後、自分も死にたいと思ったと、彼は話してくれました。誰ひとりとして、このような悲劇や恐怖を経験すべきではありません。この20年間同国東部では、紛争に加え、民間人へ攻撃が執拗に発生し、数え切れないほどの子どもが深刻な被害を受けてきました。彼らが平和に暮らせるように、緊急に、この危機を政治的に解決する必要があるのです」と述べました。
多くの子どもが家族と離ればなれに
ドロドロが襲撃を受けた際、混乱の中で、ブルクワさんを含む子どもたちは家族と離ればなれになってしまいました。しかし、ユニセフが支援する地元のNGOの活動により、ブルクワさんをはじめとする約60人の子どもが家族と再会できました。
ユニセフはロエ・キャンプの悲惨な状況に警鐘を鳴らしています。暴力行為により、この地域では数多くの避難民が発生しましたが、ここ2週間、治安が回復する兆しは見えません。ロエ・キャンプは、州都ブニアから北東45キロに位置しますが、治安が悪く、人道支援関係者でさえ襲撃を受けることから、つい最近までヘリコプターでしか人道支援を届けることができませんでした。同キャンプ周辺地域は、今も複数の武装集団から襲撃を受けています。
ラッセルは、「保護を受けることも寄せる施設もなく、何千人もの子どもと家族が、人里離れた丘の上に事実上閉じ込められており、安全な水、衛生設備、教育、健康、栄養といった、生活に必須のサービスさえ利用することができません。すでに呼吸器系疾患、下痢、マラリアの発生が確認されています。ロエ・キャンプに避難している人々へのサービス提供を強化し、彼らを暴力から守るために、あらゆる努力をする必要があります。」と述べました。
ユニセフによる支援活動
ユニセフとそのパートナーは、同キャンプの子どもと家族のための活動を広げており、毛布、バケツ、水を運ぶための容器、台所用品、石けんなどが入ったキット5,000セット以上を配布したところです。また、パートナーと協力して、キャンプの子どもたちに教育や心理社会的支援を提供しています。
ユニセフの教育プログラムは、このキャンプに住む避難民とホスト・コミュニティの小学生1,200人を対象としています。子どもの多くは、大規模な避難が起きた結果授業が中断されてしまった、5つの小学校に通っていました。キャンプを見下ろす位置にホスト・コミュニティの学校があり、その隣に設置された複数のテント内で、授業が行われているのです。