2022年12月8日ダカール(セネガル)発
最新の食料安全保障の分析「Cadre Harmonisé」によると、評価対象の8%にあたる西部・中部アフリカ地域の3,500万人以上(670万人の子どもを含む)が、現在食料と栄養の基礎的ニーズを満たすことができない状況にあります。この危機に対処するための緊急かつ長期的な解決策が早急に提供されなければ、来年、西部・中部アフリカの飢餓人口は、900万人の子どもを含む、過去最高の4,800万人に達すると予測されています。
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続く食料不安と栄養不良
国連児童基金(ユニセフ)、国連食糧農業機関(FAO)、国連世界食糧計画(WFP)は、トーゴのロメで開催された西アフリカ食料危機防止ネットワーク(RPCA)の年次会議で発出した共同声明の中で、当該地域の各政府に対し、コミュニティのレジリエンスを強化し、人々の生活を守る食料保障・栄養プログラムへの支援と投資を増やし、人々が壊滅的な食料不足に陥るリスクを軽減するよう要請しています。
地域全体の農作物の収穫予想が良好で、市場の状況が改善し、穀草類の生産量増加が推定されているにもかかわらず、食料不安と栄養不良は続いています。それはさらに、持続的な治安の悪さ、気候ショック、食料価格の高騰、新型コロナウイルス感染症流行による経済の落ち込み、およびウクライナ紛争の影響により、サヘル地域から沿岸諸国に向かって広がりつつあります。
即座に対応が必要な状況
「Cadre Harmonisé」はベナン、コートジボワール、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、シエラレオネ、トーゴの国々で、2022年の第4四半期の食料不安は、前年同期比で20%増加したと分析しています。ナイジェリアだけでも、2,500万人の女性、男性、子どもが中程度以上の食料不安に直面しており、これは即座に対応しなければ、容易に食料保障の緊急事態に陥ってしまうことを意味しています。
各政府やそのパートナーたちの努力にもかかわらず、特にサヘル諸国とナイジェリアでは、5歳未満児の急性栄養不良が懸念されており、セネガル(ルーガとマタム)、モーリタニア(ゴルゴルとギディマカ)、ナイジェリア北東部(ヨベ州とボルノ州)、ニジェール(DogonとDoutchi)の一部地域では、緊急事態を示す基準値である15%を超えています。
全体的な急性栄養不良率は、チャド湖周辺地域(ニジェール、ナイジェリア、チャド)の多くやブルキナファソ、マリ、ニジェールの国境地帯で10%を超えています。武力衝突や住民の移動、保健医療や教育、水と衛生などの基礎的な社会サービスへのアクセスの制限、栄養のある食事が金銭的に手に届かないことなどが、この地域全体の5歳未満児、妊婦、授乳婦の急性栄養不良の根本原因になっています。
未来に壊滅的な影響も
ユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所代表のマリー・ピエール・ポワリエは、「最新のデータでは、西部・中部アフリカの多くの国で、重度の消耗症に陥っている子どもの割合が依然として受け入れがたいほど高く、この地域の未来に壊滅的な影響を及ぼしています」と述べています。
ポワリエ代表はまた、「私たちは、治療の規模を拡大し、すべての子どもに支援が行き届くよう、複数セクターでの取り組みを通じて子どもの栄養不良の予防にもっと注意を向ける必要があります」と述べています。
ユニセフら3つの国連機関とそのパートナーたちは、子ども、女性、その他の脆弱な立場にいるグループを対象に、食料、栄養、保健、水と衛生の支援を提供する、複数の統合プログラムによる強固な食料システムへの取り組みを通じて、この前例のない食料・栄養危機に対応することに尽力します。
長期的な行動呼びかけ
ユニセフ、FAO、WFPは、ショックに対応でき、妊婦、授乳婦、子ども、若者に必要な栄養を考慮した、国の社会保護システムへの継続的支援を強化・拡大します。また、3国連機関は、現地、国、地域レベルの既存のシステムを基に、現地コミュニティの全面的な参加を得て、平和構築と平和的共存を支援しながら、危機の影響を受けたコミュニティのレジリエンスを強化することを目指して、中長期的な解決策の規模を拡大していきます。
ユニセフとWFPは、マリ、モーリタニア、ニジェールにおいて、 現金給付と補完的サービスを通じて、180万人を支援する共同社会保護プログラムに協働してきました。両機関はまた、脆弱層の登録を進めるソーシャルレジストリーや国の政策、および早期警戒システムとの連携などの国の社会保護システムを強化するために各国政府を支援しています。