2023年5月9日東京発
スーダンにおける人道危機は悪化しており、何百万人もの子どもが極めて困難な状況に立たされています。ユニセフ(国連児童基金)は、武力衝突が続く状況において最も脆弱な立場にいる子どもたちとその家族のために、現地にて以下のような支援を行っています。
スーダン国内におけるユニセフの支援例(5月4日付最新情勢レポートより)
保健
・ハルツームとエルファーシルにおいて、負傷者の治療と命を守る保健医療サービスの提供を支援するため、病院とプライマリ・ヘルスケア・センターに救急キット・物資・医薬品を提供しました。
・数百万回分のワクチンを低温管理するための中央コールドチェーン用に燃料5,000リットルを、さらに子ども用インスリンのコールドチェーン用に5,000リットルを確保するとともに、ハイレベルでの働きかけを実施。戦闘の影響を受ける地域の公衆衛生センター(PHC)に物資や機材を提供しました。
栄養
・支援を共に行うほぼすべてのパートナーが保安上の課題に直面し、資産や物資の略奪に遭っていることを考慮し、パートナーの現状の対応能力を確認しています。
・事前配置された物資の状況を確認し、略奪による代替品の必要性を判断しています。
・ポートスーダン小児病院の安定化センターに、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)と治療用ミルクを追加で発送しました。
水と衛生
・ハルツームの 6つの病院で水と衛生サービスが維持できるよう、州保健省に水処理薬品、水タンク、組み立て式容器を提供しました。
・北ダルフールのエルファーシル病院へ給水車で安全な水を提供しました。
・東ダルフールで、1,000人が安全な水を利用できるようにし、500人が基本的な、または改善された衛生設備(トイレ)を利用できるように支援を行いました。
子どもの保護
・危機発生時から、子どもの権利に対する重大な侵害に関する監視・報告メカニズム(MRM)を起動しています。
・60人のコミュニティボランティアをハルツーム、バハリ、オムドゥルマンに配置し、メンタルヘルスケアと心理社会的サポートを提供しました。
教育
・紛争が学校や教育機関に与えている影響のマッピングと評価を行っています。
・学年末試験の実施に対する計画的支援と、稼働している学校への継続的な支援を行っています。
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またユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは5月4日、以下の声明を発表しました。
暴力の中で生活する子どもたち
スーダンの状況は破局に向かって揺れ動いており、戦闘に巻き込まれる子どもは増加の一途をたどっています。暴力が激しいため推定値を出すことはできませんが、ユニセフは、約3週間前に紛争が勃発して以来、スーダンで190人の子どもが死亡し、さらに1,700人が負傷したという報告を受けています。スーダンの子どもたちのために、暴力は止めなければなりません。
いかなる紛争においても、子どもたちは最も弱い立場にあり、子どもたちを危険から遠ざけるためにはあらゆる努力が払われなければなりません。ユニセフは紛争当事者に対し、国際人道法に基づく法的義務を順守し、子どもたちが戦火に巻き込まれないようにすることを求めています。これには、保健センター、学校、水・衛生システムなど、子どもたちにとって重要なインフラに対するすべての攻撃の停止が含まれます。
子どもたちは3週間近くおぞましい暴力の中で生活しており、無数の家族が現在、スーダン国内で、また国境を越え、安全な場所を求めて移動しています。人道支援従事者も攻撃を受け、ユニセフのものを含む施設や車両、物資が破壊・略奪されています。
これらの攻撃は、命を守るための保健・栄養・水・衛生サービスをスーダン全土の子どもたちに届ける私たちの活動を著しく妨げています。紛争当事者が国際法を順守し、人道支援機関が現地で安全に活動できるようにすることは、支援を必要としている民間人を支える上で非常に重要です。私たちは、誰がこれらの地域を制圧しているかにかかわらず、食料や燃料などの人道的かつ必要不可欠な物資が、制限されず、妨害されず、途絶もされずに、海・空・陸路を通ってスーダンに運び込まれるよう求めます。
ユニセフはまた、スーダンの子どもたちが平和な環境の中で成長し、より希望に満ちた未来に目を向けることができるよう、危機に対する長期的な政治的解決策を求めます。
ユニセフ「人道危機緊急募金」ご協力のお願い
世界中で起きている紛争や武力衝突など、人道危機に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「人道危機緊急募金」を受け付けております。スーダン危機の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。