2023年11月20日ニューヨーク発
スーダンでこの7カ月間で深刻化した人道危機は、西部のダルフール地方で特に厳しい節目を迎えています。7カ月間で報告された子どもの死傷者数は、2022年の年間の数と比較して450パーセントも急増しました。現在少なくとも500万人の子どもたちが、継続する紛争によって深刻な権利の侵害と、保護に関するリスクに直面しています。
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危機に直面する子ども、500万人以上
4月15日に紛争が勃発して以来、スーダン国内では3,130件以上の深刻な子どもの権利侵害の申し立てが報告されており、その少なくとも半数は、ダルフール地方で報告されています。しかし通信網の遮断やアクセスの欠如により、報告されている件数は氷山の一角にすぎません。
「スーダン、とりわけダルフールは、何百万人もの子どもたちにとって生き地獄と化しています。何千人もの子どもたちがその民族的背景を理由に、意図的に標的にされ、殺され、傷つけられ、虐待され、搾取されています。この状況を止めなければなりません」と、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは訴えています。「子どもたちが新たな暴力に苦しみ続ける一方で、彼ら彼女らの両親や祖父母は、過去の暴力の連鎖の傷跡をいまだに引きずっています。私たちは、このようなことが再び起こるのを許すわけにはいきません。すべての紛争当事者は、国際法を守り、子どもたちや民間人を保護しなければなりません。子どもたちには平和が必要なのです」
紛争開始以来の7カ月間で、ダルフール地方で報告された深刻な子どもの権利侵害の件数は、2022年全体で確認された件数の450パーセントにも達しています。スーダン全土で報告されている殺傷事件のうち、51パーセントがダルフールの子どもたちを巻き込んでいます。また、スーダンで報告されている性暴力事件の48パーセントがダルフールで起きています。子どもの徴兵や徴用に関する非常に懸念される報告も、ユニセフへ継続して届けられています。
多くの子どもが急性栄養不良に
さまざまな形の深刻な暴力に加え、ダルフールの5歳未満の子ども120万人以上が急性栄養不良に苦しんでいます。このうち21万8,000人は、最も致命的な重度急性栄養不良の状態にあり、緊急の治療と救命のための支援がなければ、すぐにでも命を失いかねない状況です。
ダルフールでは最近の戦闘の激化により家を追われる人々も大幅に増加しており、新たに国内避難民(IDP)となった人は170万人に達しました。これはスーダン全土の国内避難民の40%近くを占めています。国内避難民の半数近くは、虐待や暴力、搾取、養育者からの分離(生き別れ)などのリスクに直面している子どもたちです。
ダルフールでは、医療や保護を含む子どもたちを守る重要な社会サービスが、従事するスタッフの移動の自由が妨げられたり、また略奪や資金不足のために崩壊したり、スタッフ自身が攻撃されたりしているため、機能不全に陥っています。看護師や教師、医師、ソーシャルワーカーには何カ月も賃金が支払われておらず、水道や衛生設備、病院などの重要な社会インフラは損傷を受け、劣化しています。
命を繋ぐ支援物資を
絶え間なく続く紛争の中で、ダルフールの子どもたちは、直接的な被害や人命の損失だけでなく、未来につながる教育を受ける権利を失う危険にもさらされています。この地域にある4,000の正規の学校のほとんどが、閉鎖しています。
ユニセフは他の支援団体などとも協力し、ダルフールに命を繋ぐ支援物資を届け、最前線で働く人々を支援し、子どもたちを守る基本的な社会インフラの維持を支援してきました。こうした活動を通じ、これまでに、220万人の子どもたちとその家族に、保健、栄養、水、衛生、教育、保護に関する分野における重要な社会サービスを提供してきました。しかし、さらなる支援が必要とされていることは明らかです。ユニセフは、人道支援活動の継続と拡大に必要な資金提供を加速させること、また人道支援を必要としている子どもたちに届けるため、支援従事者の活動が妨げられないよう、国際社会に訴えています。
即時の人道的停戦が必要です。ユニセフは、紛争に関与するすべての当事者に対し、国際人道法および国際人権法を尊重し、子どもたちの権利に対する重大な侵害を停止し、スーダン全土にいる何百万人もの脆弱な状況に置かれている子どもたちとその家族に手を差し伸べるために、必要なスピードと規模を制限する障害を取り除くよう、あらためて要請します。