2024年4月17日コンゴ民主共和国発
コンゴ民主共和国東部で続く武力紛争により、何千もの家族が安全を求めて自宅からの避難を余儀なくされています。
避難先の新しい土地に到着した家族は、子どもたちを地元の学校に通わせたいと希望しますが、避難してきた子どもたちの他にも、もともとその地域で暮らしている子どもたちがいて、すべての子どもたちが学ぶには教室が足りず、避難民の子どもたちが学校に通えないことがよくあります。
ユニセフ支援で教育を取り戻す
エレーヌ(9歳)もその一人でした。北キブ州ルチュルにある村から逃れてきたエレーヌとその家族は、ゴマ郊外の小学校に避難しました。学校で避難生活を送っているにもかかわらず、エレーヌは授業に参加することができませんでした。
「去年は授業を受けられませんでした。教室が足りなかったからです」とエレーヌは話します。そして、以前通っていた小学校では優秀な生徒のひとりだったのに、と付け加えました。「休み時間に他の子どもたちと遊ぶことはできても、その後に一緒に授業を受けることはできませんでした」。
エレーヌは、長い間、1日も早く学校に戻りたいと願っていました。
ユニセフとパートナーは、コンゴ民主共和国東部での支援の一環として仮設学習スペースを建設し、子どもたちが教育を受けられなかったり、学校に通えないことで児童婚や性的虐待、経済的搾取の危険にさらされたりすることがないようにしています。エレーヌが避難する地区には、3つの仮設学習スペースを設置しました。
夢はエンジニアになって学校を建てること
新しい教室は地元コミュニティの協力を得て、木材や入手しやすい資材を使い、わずか数週間で建設されました。この教室のおかげで、エレーヌを含む数十人の子どもたちが、新たに学校に通えるようになりました。
「私の夢はエンジニアになって学校を建設し、私もそうだったように、すべての子どもたちが教育を受けられるようにすることです」とエレーヌは話します。
仮設学習スペースができたことで、避難民の子どもたちが学習を再開できただけでなく、もともとこの地区で暮らしていた子どもたちも学校に通えるようになりました。
子どもたちは学校で、勉強だけでなく、地域外からきた子どもたちと出会い、良い関係をつくるという社会的スキルも身につけています。
アディリとアムリは違う村の出身ですが、新しい教室で一緒に勉強し、すぐに仲良くなりました。
「二人ともクラスで一番になろうと頑張っているので、親友になりました」と話すアディリとアムリは、いつも隣に座って授業を受けています。
学用品の提供、教師への研修も
ユニセフは仮設学習スペースの設置だけでなく、子どもたちに学用品を提供し、教師たちには学習教材やレクリエーション用の資材も提供しています。学習カバンやペン、ノートなどは、子どもたちが避難してくる際に、自宅から持ち出すことができないことが多いのです。
「学校に行けてうれしい」とメルべイユ(7歳)は、真新しいユニセフの学習カバンを誇らしげに掲げます。「大きくなったら先生になって、子どもたちに読み書きを教えるの」。
教育は、暴力が蔓延し不安定な環境で生活する子どもたちが日常を取り戻す過程で、大きな役割を果たします。ユニセフは、子どもたちを守り、心理社会的支援を提供できるようにするための教師を対象にした研修も行っています。また、教育の価値や学校に通うことの大切さを、地域社会に理解してもらうための啓発も続けています。