2024年6月3日カブール発
アフガニスタンでは、特に北部のバグラン州とバダフシャン州、西部のゴール州で、数万人の子どもが鉄砲水による被害を受けています。直近の洪水では、少なくとも12人の子どもを含む350人近くの命が奪われました。7,800棟以上の家屋が一部損壊または全壊し、5,000世帯以上が住処を失いました。
洪水の被災地へ、命を守る支援を
ユニセフ(国連児童基金)は直ちに安全な水をトラックで運び、石けん、バケツ、飲料水用ポリタンク、歯ブラシなどが入った衛生キットを配布し、手洗いと安全に水を保管することの重要性およびその方法を、衛生促進員を通じて被災したコミュニティに伝えました。さらにユニセフは、傷病人の治療ケアのために衛生・栄養分野の巡回チームを派遣し、家財を失った家族のために暖かい衣類や毛布、日用品や調理用品を届けました。ユニセフはまた、その迅速な対応メカニズムを通じて、家族が生活を再建し、基本的なニーズを満たすことができるよう、現金給付支援も即座に提供しました。
アフガニスタンにおける最近の異常気象は、深まる気候危機のすべての特徴を示しています。被災地の中には、昨年干ばつに見舞われた地域もあります。報告書によると、アフガニスタンの異常気象は、その頻度と激しさを増しており、人命や生計手段の喪失、インフラへの深刻な損害をもたらしています。
ユニセフ・アフガニスタン事務所代表のタジュディーン・オイワレはつぎのように述べています。「国際社会は、気候変動の子どもへの影響を緩和し、それに適応するために、地域社会への支援および投資を倍増させなければなりません。同時に、ユニセフと人道支援機関は、気候関連災害という新たな現実に備える必要があります。極端な気象現象が多発し深刻化していくにつれ、ユニセフをはじめとする人道支援従事者は、より迅速かつ大規模な人道的対応に乗り出す必要があります。しかし、これは、緊急支援物資の事前配備の拡大やパートナーとの連携強化など、準備態勢の拡充があって初めて可能になるものです。ユニセフは同時に、地元コミュニティが支援に依存せず自立できるよう、気候・環境ショックに適応するためのコミュニティのレジリエンスを高めることに注力しなければなりません」
子どもたち特有のニーズを優先
アフガニスタンは、ユニセフの2021年版「子どもの気候危機指数」において、163カ国中15位でした。これは、同国が気候・環境ショックにさらされているだけでなく、アフガニスタンで暮らす子どもたちは、世界の他の地域と比べて、気候変動の影響を特に受けやすいことを意味しています。しかしながら、アフガニスタンは気候変動の問題を引き起こす要因となる温室効果ガスの排出量が最も少ない国の一つなのです。対照的に、二酸化炭素排出量が最も多い上位10カ国の合計排出量は、世界の総排出量の70%近くを占めています。
「大雨は直ちにアフガニスタンの子どもたちに災いをもたらすわけではありません。私たちは、意思決定において子どもたち特有のニーズを優先するとともに、将来の災害から守るために今、子どもたちのニーズに対処しつつ彼らが頼りにしている基本的サービスに投資する必要があります。ユニセフの現地事務所がアフガニスタンの子どもたちとその家族のために支援を提供できるのは、すべてのパートナーの寛大な支援のおかげです」(オイワレ代表)