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日本ユニセフ協会

プレスリリース

レバノン情勢激化1カ月
子どもたち、心身に憂慮すべき兆候示す
ユニセフ事務局長が警鐘

2024年10月31日ニューヨーク

情勢の激化から1カ月を迎え、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは、レバノンの子どもたちの現状について以下の声明を発表しました。

傷つけられる子どもたち

空爆によって自宅が火事になり、母親のとっさの判断で窓から庭に投げ出され、命を救われた2歳の女の子。重度のやけどを負い集中治療室で治療を受けている(レバノン、2024年10月24日撮影)

© UNICEF/UNI671092/Choufany
空爆によって自宅が火事になり、母親のとっさの判断で窓から庭に投げ出され、命を救われた2歳の女の子。重度のやけどを負い集中治療室で治療を受けている(レバノン、2024年10月24日撮影)

レバノンで現在も続く戦争は、子どもたちの生活を一変させ、多くの場合、深刻な身体的傷害と深い心の傷を負わせています。

レバノン保健省によると、2023年10月以降、166人の子どもが死亡し、少なくとも1,168人が負傷しています。この痛ましい数字は日々増え続けています。

今年の10月4日以降毎日、少なくとも1人の子どもが亡くなり10人の子どもが負傷しています。数カ月にわたる絶え間ない爆撃を生き延び体が無傷でも、周りで起こっている暴力と混乱にひどく心を痛めている子どもはさらに何千人もいます。

心身に憂慮すべき兆候示す

自宅近くで爆撃があり、シェルターに逃れた14歳の女の子。家族以外の人と同じ部屋で生活することには慣れたが、「戦争が終わって、みんなが家に戻れることを願っています」と話す(レバノン、2024年10月24日撮影)

© UNICEF/UNI670883/Choufany
自宅近くで爆撃があり、シェルターに逃れた14歳の女の子。家族以外の人と同じ部屋で生活することには慣れたが、「戦争が終わって、みんなが家に戻れることを願っています」と話す(レバノン、2024年10月24日撮影)

レバノン中の子どもたちが、精神面、行動面、身体面で極めて憂慮すべき兆候を示しています。ユニセフの現地チームは、圧倒的な恐怖と増大する不安に襲われている子どもたちに会いました。

家族と離ればなれになるのではないかという不安、喪失への恐怖、閉じこもり、他者への攻撃、そして集中力の欠如などが見られました。多くの子どもが睡眠障害に陥り、悪夢にうなされ、頭痛に襲われ、食欲を失っています。学校が提供する安全、安定、そして支えを奪われたことで、こうした子どもたちの多くは、遊んだり、学んだり、癒されたりする場所を失ってしまいました。

戦争は、子どもたちが安心して健やかに育つために必要な環境を破壊します。子どもたちが長期間にわたりトラウマ性のストレスに耐えなければならない場合、健康上および心理的な深刻なリスクに直面し、その影響は生涯にわたって続く可能性があります。

ユニセフの支援

家族と共に爆撃から逃れシェルターにやってきた5歳(左)と3歳の姉妹。ユニセフの心理社会的支援の下、絵を描くことで感情を表現している(レバノン、2024年10月14日撮影)

© UNICEF/UNI663583/Choufany
家族と共に爆撃から逃れシェルターにやってきた5歳(左)と3歳の姉妹。ユニセフの心理社会的支援の下、絵を描くことで感情を表現している(レバノン、2024年10月14日撮影)

ユニセフは現地で、何千人もの子どもと養育者に緊急の心理的支援を提供しています。2024年9月23日以降、ユニセフは9,600人以上の子どもと養育者にこころのケアの応急処置を提供し、約1万人の子どもにコミュニティを基盤とした支援を提供しました。

しかし、真の回復は暴力が終結して初めて始まります。レバノンの子どもたちは、安全に基本的なサービスを利用し、戦争のトラウマから立ち直るために、恒久的かつ即時の停戦を必要としています。私たちは、さらに多くの子どもが負傷したり命を落としたりすることを防ぎ、レバノンの子どもたちの未来を守るために、今行動を起こさなければなりません。

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