2025年2月17日キンシャサ(コンゴ民主共和国)発
コンゴ民主共和国東部において暴力が激化し避難民が急増する中、ユニセフ(国連児童基金)は何十万人もの子どもの学校生活を守るために、緊急の措置を講じるよう呼び掛けています。
新たに33万人が学校に通えず
© UNICEF/UNI734169/Benekire
北キブ州ゴマ近郊のブレンゴ避難民キャンプにある小学校。ユニセフの支援により設置されたが、紛争の激化により授業ができない状態になっている(コンゴ民主共和国、2025年2月10日撮影)
紛争が激化する前から、避難民の数の多さもあり、コンゴ民主共和国東部の教育システムには大きな負担がかかっていました。現在、260万人の子どもを含む650万人以上の人々が、この地域内で避難生活を余儀なくされています。
今年に入って紛争が激しくなり、避難民キャンプ内に設置されたものを含む、北キブ州と南キブ州の2,500以上の学校や学習スペースが使用できなくなりました。学校が閉鎖されたり、損壊したり、避難所として使われたりしたため、79万5,000人の子どもが教育を受けられなくなっています。2024年12月には、そのような子どもは46万5,000人だったため、大幅に増えています。イツリ州を含めると、コンゴ民主共和国東部では160万人以上の子どもが学校に通えていません。
子どもにとって絶望的な状況
© UNICEF/UNI734213/Benekire
北キブ州ゴマ近郊のブレンゴ避難民キャンプから、さらに避難をしようとしている家族。紛争の激化による治安悪化で、ゴマ周辺の避難民キャンプは閉鎖されることとなった(コンゴ民主共和国、2025年2月10日撮影)
ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所代表代理のジャン・フランソワ・バッスは、「これは子どもにとって絶望的な状況です。教育、そして教育から得られるさまざまな支援体制こそが、子どもが日常生活に近い感覚を保ち続けるために、また紛争後には自分を取り戻し立ち直るために、必要なのです」と述べています。
ゴマの学校は2月9日に授業を再開させましたが、治安状況がまだ危険すぎるとの保護者の不安の声もあり、登校する生徒はごくわずかでした。
危機下において、学校は安定的な環境を保ち、武装集団による徴兵・徴用や性暴力から子どもを守る安全な空間を提供するという重要な役割を果たします。学校はまた、トラウマを経験した子どもに心理社会的支援へのアクセスを提供することもできます。
ユニセフはパートナーと協力し、仮設学習スペースを設置し、学用品と衛生キットを一緒に配布することで、コンゴ民主共和国東部での教育の継続を支援しています。 ユニセフはまた、最も遠隔の地に暮らす子どもや社会的に疎外された子どもも支援できるよう、ラジオを使った教育や短期集中学習プログラムの活用も模索しています。学校の敷地内や周辺を含み、ゴマ周辺では地雷や不発弾が残っており、ユニセフは地雷リスク教育も主導する予定です。
「ユニセフはこの2年間、ゴマ周辺の避難所に学習施設を整備することに多額の投資をしてきました。しかし、それらの施設は現在ほとんど使われていません。再び避難を余儀なくされた子どもたちは二度と学校に戻れないのではないかと、私たちは非常に心配しています」(バッス代表代理)
ユニセフは、全体的な人道支援要請の一環として、48万人の子どもの緊急な教育ニーズに応えるために5,200万米ドルの資金が必要だと、国際社会に訴えています。
ユニセフはまた、紛争当事者に対して、国際法上の義務に従い教育施設をはじめとする民間施設を保護し、教育施設の軍事利用を直ちに中止するよう求めています。
日本人職員への取材機会のご案内
日本に一時帰国中のユニセフ・コンゴ民主共和国事務所プログラム専門官の堀井健士が、報道関係者の皆さまに現地の状況をお伝えするため取材をお受けしています。
ご希望の方は、日本ユニセフ協会広報・アドボカシー推進室( jcuinfo@unicef.or.jp )へご連絡ください。