2025年4月7日ニューヨーク/アンマン(ヨルダン)/コペンハーゲン/ジュネーブ/ローマ発
ガザ地区への物資の搬入が止められ、現地が危機的状況にある中、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルなど7人の国連機関の長は以下の声明を出し、物資搬入や停戦の再開を訴えました。
ガザ物資搬入遮断、2カ月目に
© UNICEF/UNI774450/Nateel
ガザ地区で避難所となっていた学校が爆撃され、けがをした息子二人をを抱きしめる母親 。5歳のアブドラちゃん(左)と3歳のモハメッドちゃん(右)の他にも、行方不明の娘がいる(パレスチナ、2025年4月3日撮影)
ガザ地区には1カ月以上も、商用物資も人道支援物資も搬入されていない状況が続いています。
210万人以上の人々が再び逃げ場を失い、爆撃を受け、飢えに苦しんでいます。一方で、検問所付近には食料、医薬品、燃料、避難所用の物資が山のように積み置かれ、極めて重要な機材が足止めされています。
停戦が崩壊した直後の1週間だけで、1,000人以上の子どもが亡くなったりけがをしたりしたと報告されています。これは、ガザ地区における子どもの1週間当たりの死亡数としてはこの1年間で最も大きな数字です。
つい先日、停戦中に国連機関の支援を受けていた25の製パン所が、小麦粉と調理用ガスの不足により閉店を余儀なくされました。
部分的にしか機能していない保健医療システムは、パンク寸前の状態です。医療や外傷治療に必要不可欠な物資が急速に底を突いており、これまで何とかして保健医療システムを稼働させてきたその努力が台無しにされかかっています。
戦争が続いていた470日間、爆撃や妨害、略奪によって成しえなかったことが、直近の停戦により60日で達成することができました。ガザ地区のほぼ全域に命を守る支援物資が届いたのです。
これはつかの間の安らぎをもたらしましたが、ガザ地区で暮らすパレスチナの人全員に食料が十分行き渡っているという主張は、現地のありさまとはかけ離れています。物資は極端に不足しています。
「国際社会は今、行動を」
© UNICEF/UNI774456/Nateel
ガザ地区で避難所となっていた学校が爆撃され、負傷した子どもを病院へ運ぶ様子(パレスチナ、2025年4月3日撮影)
ガザ地区では、人命をまったく顧みない戦争行為が繰り広げられています。
イスラエルの新たな強制退去命令により、何十万ものパレスチナの人々がまたしても避難を余儀なくされ、安全な行き場所などない中、逃げ惑っています。
誰ひとり、安全ではありません。2023年10月以来、少なくとも408人の人道支援従事者が命を落としており、その中には国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の280人以上が含まれています。
ガザ地区に対するイスラエルの物資搬入遮断が2カ月目に突入し、さらに厳しくなっている今、私たちは世界のリーダーたちに、国際人道法の基本原則が確実に遵守されるよう、断固とした、迅速かつ躊躇なき行動を取るよう訴えます。
「民間人を保護せよ。支援を促進せよ。人質を解放せよ。停戦を再開せよ」――これらのことを、私たちは強く求めます。