世界中いたる場所で、あまりにも多くの子どもにとって、学校は“危険”な場所になってしまっています。ユニセフは、世界中の若者に、自らの経験と学校を安全・安心な場所にするため必要だと考えていることを共有してくれよう、インターネットを通じて呼びかけました。
反応は、私たちの予想を遥かに超えるものでした。100万超える数の若者が、意見を寄せてくれたのです。3分の2以上の若者は、様々な暴力が学校の内外で起きていることを憂いています。でもただ“憂いて“いるわけではありません。学校を安全・安心な場所にするために、親が、先生が、政府が、そして生徒自身が何をできるのか、様々なアイディアを持ち、教えてくれました。
こうした声を背景に、ユニセフは、世界各国から100人を超える若者に集まってもらい、学校や学校の周辺で起きているあらゆる形態の暴力を撲滅するために必要なアクションを、このマニフェストにまとめてもらいました。
学校で多様性と寛容性を促進するための基礎になるのは、誰もが平等であるという考え方です。子どもたちはまず家庭で、そして学校で、誰もが平等であることを教えられ、そのように扱われなければなりません。私たちは、私たち全員が平等であることを認識しなければなりません。文化的背景やジェンダー、出自、障がい、性的指向、国籍、人種、民族、移民かどうか、そして宗教的背景の違いが、私たちを私たち以外の誰でもない存在にしているのです。そのことは祝福されるべきことで、私たちを分断するために使われてはならないのです。私たちのカリキュラムや教員、社会、メディア、そして政府などの行政機関は、学校を、すべての人にとって安全でインクルーシブな場所にしてゆかなければなりません。そのために必要なことを実践し、子どもたちに教え、確実なものにする責任を負っています。教室の中で、世界中で、私たちを不平等な状態に陥れている偏見を取り除く責任、そうした偏見の芽を摘む責任を負っているのです。
学校は、(国家間の関係の基本原則として浸透する)平和的共存と尊敬の念を持った共存の原則(the principle of peaceful, respectful coexistence)に基づき、また学校には(人々や社会に)変化をもたらす力があることを認識し、保護者や生徒、そして社会全体と協力して、すべての生徒を思いやり、支援し、保護しなければなりません。暴力を受けた生徒のみならず、暴力的な行為をした生徒も含めて。
尊敬の念と思いやりの心を持って地域の一員として生活し、声を出すことが私たちを危険に晒すことが無いと確信できる場合は、意見を発信することを約束します。優しさは、私たち一人ひとりに課せられた責任です。
暴力を通報することを避けたり、通報者を非難する風潮を打破することを約束します。学校で暴力を見聞きした際は、教員やカウンセラー、地域の代表や友人(他の生徒)など、信頼できる人を見つけ、その事実を伝えます。そして、若者が主導して運営する暴力通報の仕組みを作ることを約束します。
家庭や学校、私たちが住む地域やインターネット上で、 人々の団結や好奇心、相互尊重の精神を促進する取り組みを始めること、既存の取り組みを応援することを約束します。私たちは、お互いを守り、お互いに支え合います。[#I’veGotYourBack]
親、保護者、教育機関としての学校、政策立案者、そして地域(に住むすべての方々)が、私たちの存在そのもの、私たちが持つ公平性、尊厳を持った存在であることの権利、そして、あらゆる形態の暴力がない環境ですべての人と共存する権利を持つ存在であると認識するよう求めます。(私たちが住む環境の中に)暴力が存在する場合には、その負の影響が子どもたちに及ぶ前に、直ちにその問題の撲滅に取り組むことを求めます。
学校におけるあらゆる形態およびレベルの暴力からの保護と予防を求めます。それは、すべての人々に安全・安心な学習環境づくりのための改善と支援を可能にする明確なルールや規則、行動計画によって実行されるべきです。
政策立案者に、銃やナイフを含む武器や、武器として使用できるあらゆる物を学校に持ち込むことを制限する法律の制定と執行を求めます。
登下校の安全・安心を求めます。私たちは、誰からもいかなる形でも傷つけられたくありません。私たちは、法律で保護されること、違反者が罰せられることを求めます。
校舎、敷地、校庭、遊具などを含む学習環境の安全・安心が確保されることを求めます。廊下や教室、ジェンダー別に選択できるトイレに、適切な明るさ(照明)が確保されるよう求めます。校門や防犯カメラの設置、適切な訓練を受けた警備員の配置などの安全対策を期待します。学校の職員や生徒は、緊急時に取るべき行動について、適切な指示を必要としています。
教員やカウンセラーが、学校内外の暴力の影響を受けた生徒を発見し、適切な一次対応を取り、支え、必要な支援サービスを提供する専門家や団体に紹介できるよう、継続的に研修を受けることを求めます。こうした研修を通じて、教員とカウンセラーは、インクルーシブや多様性に関わる様々な問題に対応し、すべての子どもたちを前向きにしつけることを可能にする感性と知識を身につけるはずです。
すべての学校が、年齢やジェンダー、出自、性別、障がい、宗教、人種、性的指向に関わらず、すべての生徒に、他者との間で尊重すべき物理的な距離や、性的側面で尊重すべき事柄を学ぶ機会を与えるよう求めます。すべての学校は、セクシュアル・ハラスメントをはじめあらゆる形態の性的攻撃(身体的、心理的、感情的、または口頭のいずれの形であっても)を生徒が容易に通報できるよう、インクルーシブな内容の校則等に明記された信頼できる通報受付体制を整えなくてはなりません。
日本ユニセフ協会広報室 仮訳(2019年1月24日現在)
The #ENDviolence Youth Manifesto(英語版)はこちら
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