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FNSチャリティキャンペーン

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国の概要

■ 支援対象国 モザンビーク

モザンビークは、アフリカ大陸の南東部、マダガスカルの対岸にある海岸2,500㎞をインド洋に接する国です。経済的に大きなつながりを持つ南アフリカをはじめ 6カ国と国境を接します。 そのうち4カ国は内陸国のため、港を持つモザンビークは周辺国の貿易拠点として地理的に重要な役割を担っています。豊富な天然資源に恵まれ、特に近年確認された天然ガスなど鉱物資源業は経済成長を牽引し今後の投資促進や雇用創出など経済効果が見込まれています。しかしその恩恵は未だ多くの人に届いていません。モザンビークは世界最貧国のひとつとされ、特に保健、教育、所得などの人間開発指数は189カ国中181位(UNDP, 人間開発報告書2020)と低迷し、人口の約半数は貧困線を下回る生活をしています。地域の格差も広がっており、人口のおよそ3分の2(3,100万人以上)は農村部で生活し働いていますが、農村部、特に中部や北部などの開発の遅れが顕著で貧困層が多く、基礎サービス等の拡充も必要とされます。
この厳しい状況下、ここ数年モザンビークの子どもたちはさらなる脅威にさらされています。2019年のサイクロン「イダイ」の甚大な被害から回復していないなか2021年にはサイクロン「エロイーズ」が直撃、度重なる自然災害に見舞われています。また北部と中部の紛争は2021年に激化し、85万人以上の人が避難を余儀なくされました。頻発化・激甚化する自然災害や紛争、さらには新型コロナウイルス感染拡大による影響は食糧危機や栄養不良も深刻化させ、子どもや家族を一層脆弱化させています。様々な危機に直面するモザンビークでは支援ニーズが極めて高い状況が続いています。

【新型コロナウイルス】

世界保健機関(WHO)によると2022年1月17日時点でモザンビークの累計感染者数は219,081人、ワクチン接種完了は約23%です。 2021年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が深刻化し、感染率が2倍、入院率も5倍になりました。感染拡大による直接的・間接的な影響によって、既に課題を抱えている基礎サービスや経済社会インフラの状況は悪化の一途をたどっています。 教育では感染拡大による学校閉鎖によって2021年は初等教育の14%、中等教育の27%の子どもたちに影響が及びました。 学校閉鎖は遠隔学習の手段を持たない多くの子どもたち、とりわけ初等教育の子どもたちから教育の機会を奪い、教育の不平等を拡大させています。さらには、学校給食や予防接種等、学校に行くことで得られる栄養や保健サービス、安全な場所という生命線が失われる危険が伴います。

ユニセフは、拡大する感染から子どもたちを守り、その他の予防可能な病気からも命を落とすことがないよう従来の予防接種キャンペーンなど保健サービスや栄養治療等の支援活動を継続しています。また、子どもたちが自身や周りの人をウイルスから守るための正しい知識を身につけられるよう、啓発キャンペーンを実施し、石鹸による手洗いやマスク等感染予防対策がとれるよう支援を行っています。教育面では、遠隔学習の体制整備支援や教員支援強化を行い、子どもたちが再開された学校に戻って、失われた学習時間を取り戻すことができるよう支援活動をすすめています。

【栄養】

モザンビークでは日常的に栄養を十分に取れない慢性栄養不良の改善が過去15年間ほとんど見られず, 5歳未満の子どもの43%がその状況下にあります。特に、北部地域は、南部の首都マプトの2倍にも及ぶなど栄養不良は深刻な課題になっています。人口の8割超が農業に従事し、天候に依存した農業生産は干ばつや洪水などの影響を受けやすく、凶作による食料難も理由のひとつです。不衛生な環境によって下痢疾患に陥りやすいことも理由にあげられます。乳幼児期の栄養の不足や偏りも一因です。命を守る母乳育児は6ヶ月未満の乳児のうち半数以下であり、バランスの取れた栄養摂取ができている生後6ヶ月から2歳の乳幼児の割合も13%以下にとどまっています。

栄養不良は人的・経済的に大きな代償を伴います。栄養不良の子どもは、身体の免疫力の低下により病気にかかりやすく、回復も困難になります。また、栄養不良がもたらす幼少期の脳や身体の発達の遅れは、その後も子どもたちの人生を脅かし続けます。そのため、栄養分野への投資は重要な開発優先事項とみなされるようになっています。

ユニセフは、保健施設が不足するコミュニティでも子どもたちを守れるように、子どもたちの身近な場所に栄養治療食や研修を受けた保健員の配備を進め栄養不良の予防、早期発見、治療に向けた取り組みを進めています。具体的には地域の栄養員による保護者への栄養指導(特に適切な栄養が必要とされる胎児期から2歳の子どもへの食事指導等)、妊産婦・子どもへの栄養補給(身体の免疫力を高めるビタミンAの投与等)、定期的な体重測定による栄養不良の予防と早期発見、命の危機に晒されている重度の栄養不良の子どもに対する特別な治療食によるケアなどが含まれます。

【母子保健】

5歳未満児の死亡率は過去20年間で改善が見られているものの、現在でも毎日5歳未満のこども320人がマラリアや呼吸器感染症、下痢などの予防や治療が可能な病気で命を落としています。子どもの死亡は新生児が3割以上を占め、妊産婦死亡率や新生児死亡率は過去10年間改善が停滞しています。栄養不良、マラリア、HIV/エイズが子どもの病気や死亡に深刻な影響を及ぼしています。乳幼児の命を守るには母親の健康状況の改善や出産時の安全な環境、特に農村部における妊産婦ケアへのアクセスが重要です。モザンビークでは半数以上の出産が十分な訓練を受けた保健員や助産師の付き添いがなく行われ、母子は命を守るサポートが得られていません。妊産婦70%が貧血の状況にあることも、生まれる子どもの低体重などに影響を及ぼします。

地域や所得に関係なく、すべての子どもが人生最初の大切な保健サービスに適切にアクセスできるよう、地域保健サービスとのつながりは、その後の適切な栄養摂取、予防接種、定期的な発育観察など、健やかに成長する上で欠かせないものとなります。

すべての子どもが持つ権利である出生登録を進めていくことも、子どもを保護し、社会サービスへのアクセス格差を是正するために、対策が急がれます。

ユニセフは、すべての子どもたちが十分な保健ケアを受け、予防や治療可能な原因で命を落とすことがなくなるよう活動を行っています。質の高い保健サービスが地域で提供できるよう地域レベルで保健所を設け、命を守る医薬品やワクチンなどを配備し保健従事者を育成しています。また、予防接種や衛生知識の普及なども進めています。

【数字で見るモザンビーク】 各種統計

出典:The State of the World‘s Children 2021

項目 モザンビーク 日本
総人口(2020年) 31,255,000人 126,476,000人
18歳未満人口(2020年) 15,968,000人 19,137,000人
5歳未満人口(2020年) 5,157,000人 4,778,000人
5歳未満児死亡率(2019年) 74人/1000出生 2人/1000出生
5歳未満児死亡数(2019年) 81,507人 2,343人
乳児死亡率(2019年) 55人/1000出生 2人/1000出生
新生児死亡率(2019年) 29人/1000出生 1人/1000出生
妊産婦死亡率(調整値)(2017年) 289人/10万出生 5人/10万出生
基本的な飲み水を利用する人の割合(2020年) 63%
(都市部88%、農村部49%)
99%
基本的な衛生施設(トイレ)を利用する人の割合(2020年) 37%
(都市部61%、農村部23%)
100%
出生時の平均余命(2020年) 61年 85年
出生登録率 2011–2020年 55% 100%

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