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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

メキシコ タバスコ州大洪水
本格化する救援活動

【2007年11月9日 メキシコ ビラヘルモサ発】

記事
© UNICEF Mexico/2007/Alleyne
タバスコ州ビラヘルモサに設置された支援センターで、支援物資の配給の順番を待つ被災者たち。

過去50年で最悪の洪水がメキシコ南東部を襲ってから半月あまり。タバスコ州の州都ビラヘルモサでは、水こそようやくひいたものの、市内は水が運んできた泥や、水害防止用の土嚢が破れてちらばった砂で覆われています。また、市周辺には、洪水で破壊された家の傍を離れたくない人々がダンボールやビニールシートで造った、にわか作りのシェルターが、ずらりと並んでいます。

一方、同じタバスコ州でも、ビラヘルモサを一歩出ると、多くの地域が未だに水没したままの状態で、メキシコ軍による救援活動が続けられています。今回の洪水で、30万人を超える子どもを含む百万人以上が被災したとみられています。

メキシコ教育省は、タバスコ州の2500校が洪水による被害を受けたため、40万人にのぼる生徒・学生の教育に影響が出ていると報告しています。ユニセフは、タバスコ州と、同様に被害を受けた隣のチアパス州に緊急支援チームを送り、正確な被害状況の把握に努めています。

本格化する支援活動

メキシコ政府は、ビラヘルモサ市内に合計276箇所の避難所を設置。様々な支援物資を配給しています。そのひとつエル・トレオの避難所の前の道路には、トレーラー付のトラクターが列を成し、飲料水や食料などの救援物資が次々と運びこまれています。

センターが設置されたビルの駐車場には、配給を待つ150人ほどが列をなしています。配給活動は混乱も無く粛々と続けられていますが、人々の表情には笑顔は無く、疲れが見え始めています。

ユニセフは、こうした避難所の中で、子どもたちの心のケアを支援するためのサービスを提供しています。ユニセフは、今後、センターや学校の教員らに、カウンセリングの講習などを実施する他、レクリエーションキットを提供。学校の再開の支援のために、教材などを提供する予定です。

「助けを求めたことなんてなかったのに・・・」
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© UNICEF Mexico/2007/Alleyne
心のケア支援を始めたタバスコ州の避難所で活動するユニセフのスタッフと、被災した親子。

ユニセフの緊急支援チームがエル・トレオ避難所で出会った妊娠7ヶ月のアナさんとゴンザロさん夫妻。2歳の娘を連れ、ランチェリア・ブエナビスタ村から徒歩で一時間かけて避難してきました。

「生まれてこのかた、他人様に助けを求めたことなんてなかったのに。でも、(こんな酷い)状況は見たことがないよ。本当に助けが必要なんだ」とゴンザロさんは訴えます。

先週雨が降り始めたとき、アナさんとゴンザロさんは、ちょっとした洪水は起こるんじゃないかと思っていたそうです。しかし、ここまで酷い状況になるとは夢にも思いませんでした。「そうなると気が着く前に、私たちの家は水で溢れ始めていました。友人の家に行って戻ってみると、水は窓の高さに達していました。」とアナさんは語ります。

一方、タバスコ州のあちこちには、アナさん一家とは異なり、破壊された家を捨てきれず、満足な支援を受けることができない人々もまだ2万人ほどいると推定されています。ゴンザロさんも、あまり長い間家を空けておくと、家財道具などが盗まれてしまうのではと、実のところ気が気ではありません。しかし、幼い子どもやお腹の赤ちゃんのことを考たこの夫妻は、とりあえずセンターに避難することを選択したのです。

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