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総回答数は933、うち有効回答数は796(重複回答、明らかにおとなによると思われる回答等を除く)であった。投稿者の属性は、年齢的には小学校高学年が最も多く、性別は7割が女子であった(図1、2[ii])。これは、過去にYahoo!きっずが実施したウェブアンケートや、投稿系サービスでも見られる特徴で、本テーマへの関心が特に女子の間で高かったのではなく、この世代では女子が積極的に投稿を行うという傾向が本パブコメでも顕著に表れたものと考えられる。
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1日当たりの投稿数の平均を平日と休日で比較すると、休日が平日の約1.3倍と、休日により多く意見が投稿される傾向があった。また、時間帯別では、通常、Yahoo!きっずは、学校の授業稼働時間により利用される傾向にあるが、今回は夕方夜間帯の投稿も多くみられる(図3)。このテーマについては、より時間が取れる時に、他者の目がある学校の共用パソコン環境ではなく自宅等の環境から投稿した子どもが多かったと推察される。
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また、特設ページから各種相談先の紹介も行ったところ、計1,049回のクリックがあった。通常ウェブページでは、上方にあるコンテンツがよくクリックされる傾向にあるが、今回は、サイトのタイトルやサムネイル画像が子どもにわかりやすく端的であるものがよくクリックされる傾向にあった。
「(あなたやあなたの周りの人について)暴力によって心や体を傷つけられたことがありますか?または見たり聞いたりしたことがありますか?」との問いに対して、68.1%が「はい」と答えた(「いいえ」17.2%、「わからない」・無回答14.7%)。「はい」と答えた子どもに、それがどのようなことであったかを尋ねたところ、いじめ、虐待、体罰、性的搾取[1]の順に多く、その傾向に男女間、年齢層別で大きな差は見られなかった(表1、2参照)。
表1 年齢層別・類型別の報告数(複数回答あり)
- | 6歳~10歳 | 11歳~15歳 | 16歳~19歳 | 回答しない | 合計 |
虐待 | 41 | 102 | 23 | 14 | 180 |
性的搾取 | 32 | 33 | 16 | 11 | 92 |
いじめ | 118 | 243 | 43 | 36 | 440 |
体罰 | 29 | 78 | 21 | 17 | 145 |
合計 | 220 | 456 | 103 | 78 | 857 |
表2 男女別・類型別の報告数(複数回答あり)
- | 女子 | 男子 | 回答しない | 合計 |
虐待 | 129 | 32 | 19 | 180 |
性的搾取 | 53 | 25 | 14 | 92 |
いじめ | 315 | 73 | 52 | 440 |
体罰 | 90 | 33 | 22 | 145 |
合計 | 587 | 163 | 107 | 857 |
注:「その他」を選んだ回答の中で、その説明が明らかに上記4つのいずれかを指すと判断されたものを含む数
上記4つ以外の「その他」を選んだ子どもに具体的にどんなことだったかを尋ねたところ、先生の言動に関するもの、部活動を場面とするもの(先輩・先生)、きょうだい間の暴力等についての記載があった。
すべての回答者を対象に、自分または周りの人が暴力によって傷つけられたらどうするか等を尋ねた結果は、図4~6の通りであった(いずれも複数回答あり)。
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自由記述形式で、暴力をなくすために大人にしてほしいこと、子どもたち自身にできることを尋ねたところ、それぞれ有効回答の8割以上で記載があった。「怖いという気持ちが書けることを知ってうれしい」という声に代表されるように、周囲の大人や既存の相談窓口等で拾いきれていない多くの子どもたちの思いが示された。以下は主要なものと考えられる意見を分類してまとめたもの(抜粋、最低限の編集を加えた)であるが、ここには記載できなかった意見も多数ある(括弧内は年齢、性別)。
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SOSに気づいてほしい
相談しやすい環境をつくり、子どもの声をきいてほしい
暴力について、もっと伝えてほしい
居場所がほしい
大人にしてほしいこと、「ない」
子どもを傷つけないで/一人の人間として扱ってほしい
大人が変わってほしい
何が暴力か教えてほしい
アンケート実施方法を改善してほしい/秘密を守ってほしい
いじめる側、いじめられる側にきちんと対応してほしい
もっと子どもを守れる環境を整えてほしい
助けを求めること、相談すること
相談しあえる関係を築くこと
経験や意見を語ること
学ぶこと
注釈:
[1] 実際には、子どもにわかりやすいよう、以下の文言で質問した。
[i] Yahoo!きっず:1997年に「未来を担う子どもたちにインターネットの楽しさを!」という思いから開始されたサービス。主に、小学校の授業などで、調べ学習を行うために活用されている子ども向けポータルサイト。利用者属性としては、小学校中学年から高学年の利用が多く、性別はその世代の人口統計分布同様で、ほぼ男女同率となっている。利用時間帯は、平日の学校の授業時間帯に利用される傾向にあり、そのため、スマートデバイスよりパソコンでのアクセスが多い傾向にある。
[ii] 「回答しない」の選択肢も設けた。
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