【2019年2月13日 東京発】
日本ユニセフ協会は、2月5日、ヤフー株式会社、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)、ECPAT/ストップ子ども買春の会、さくらインターネット株式会社と共催で、Safer Internet Day 2019 シンポジウムを開催しました。
Safer Internet Day(SID)は、毎年2月、インターネット上の安全に関する啓発など様々な取り組みが一斉に行われる日です。現在、世界100カ国以上が参加しています。日本ユニセフ協会などは、一昨年から、この日に合わせた活動を行っています。
児童ポルノ、リベンジポルノ、AV出演強要等、インターネットを介する子どもや女性に対する暴力は依然として深刻です。この日のシンポジウムでは、関係省庁、企業、地方自治体、教育関係者、相談機関・支援機関も参加し、子どもや女性を守るための取り組みについて議論しました。
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開会の挨拶に立った当協会専務理事早水研は、昨年のSIDシンポジウムは、直後にストックホルムで開催された「子どもに対する暴力撲滅のためのSolutions Summit」への政府、企業、市民社会の“オールジャパン”での参加にもつながり、日本の解決策(ソリューション)は世界各国からの参加者にも紹介されたと述べました。
来賓として登壇された國重徹総務大臣政務官からは、児童ポルノやAVの問題については様々な取り組みが行われているもののさらなる課題も残る、として、関係者が連携をいっそう密にして問題の解決につながることを祈念する、とのご挨拶をいただきました。
ECPAT/ストップ子ども買春の会共同代表の宮本潤子氏は、児童買春・児童ポルノ禁止法成立からこれまで20年間の経緯と、取り組みの進展にもかかわらず被害に遭う子どもが減らない実態について説明。官民が連携して子どもが生き育つ権利を守らなければならない、と訴えました。
続いて、東京都青少年・治安対策本部総合対策部健全育成担当課の鍋坂昌洋課長から、東京都の自画撮り被害の防止に向けた条例改正について紹介がありました。写真を送ってしまった子どもを苦しめ続ける自画撮りの被害。現行法での要求側への規制が不十分な中、要求者に対し罰則つきの禁止規定を設けた東京都の条例は、その後10以上の都道府県にも広がっているとのことでした。
法務省人権擁護局調査救済課の大橋光典課長と杉谷達哉補佐官からは、インターネット上の人権侵害などに関する法務省の啓発、相談の取り組みが、また、さくらインターネット株式会社カスタマーリレーション部ネットセーフティ企画課 眞崎さゆり課長と、ヤフー株式会社政策企画本部政策企画部 仲野亘氏からは、企業として、児童ポルノの流通やAV出演強要等の問題にどのように取り組んでいるかが紹介されました。
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パネルディスカッションでは、AV出演強要問題への対策をテーマに、官民様々な立場の参加者が、問題の所在、これまでの取り組みやさらなる課題について議論しました。
政府側からは、関係省庁会議が開催され緊急対策がとりまとめられるなど、この問題への対応がピインポイントで進められていることが説明されました。業界の取り組みについては、AV人権倫理機構において共通契約書、販売停止の仕組み等が導入されていること、画像の削除に関する相談機関と企業の協力についても紹介されました。相談機関からは、相談内容の一端が紹介され、依然としてこの問題の被害が深刻で、さらなる取り組みが必要であることについて参加者の見方は一致。様々な問題がおきているため現状の把握と論点を絞った議論が必要であること、対策には国民気運の醸成が必要であることが確認され、法整備への期待も寄せられました。
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閉会にあたり、セーファーインターネット協会の別所直哉代表理事が挨拶し、民間の取り組みが進展してきているが、本日の議論を通じて、やはり法制面の整備も必要であることが示唆された、この問題に長く関わってきているがプレイヤーがあまり変わらない、今後はより多くの人に参加してほしい、と期待を示しました。
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