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南スーダン・栄養危機
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© UNICEF/NYHQ2014-1153/Nesbitt |
上腕の周囲を測り、栄養状態の検査を行う様子。赤色は栄養不良の可能性がある、危険な状態を示す。 |
食料安全保障の改善は、病気の罹患率が高く、安全な水と基本的な保健ケアを受けられないことから、特に幼い子どもたちの栄養不良の改善に反映されません。食糧へのアクセスが改善しても、子どもたちは引き続き、栄養不良の危険にさらされます。紛争地域のうち、特に国内で避難生活を送る140万人-そのうちの半数以上は子どもたち-は、最も危険な状況にあります。
南スーダンのほとんどの場所では、栄養不良率は極めて深刻な段階にあります。紛争で避難生活を送っている人が多くいる地域の中には、子どもの急性栄養不良率が30%を上回っている地域もあります。これは、緊急レベルと公に認識されるものの2倍以上にあたる高い割合です。現地は治安が悪い上に雨季であることから、国内のほとんどすべての道路が寸断されています。そのため、栄養不良の子どもたちに人道支援を届けることは、極めて困難です。
ユニセフ・南スーダン事務所 代表のジョナサン・ヴェイチは「栄養不良の子どもたちのうち、支援を届けられない何千人もの子どもたちが極めて危険な状況にあります。乾季の訪れと通行可能な道路を使って、栄養不良の子どもたちの治療のための物資の備蓄を行わねばなりません。また、こうしたタイミングで、支援を加速させることも重要です」と述べました。
総合的食料安全保障レベル分類(IPC)の分析では、2014年9月〜12月にかけて、150万人が「食料安全保障における危機または緊急レベル」におかれると予想されています。南スーダンは、今後数カ月が収穫期にあたることから、最新の予想では状況の改善を見込んでいます。さらに、IPCは人道支援の改善が予想される地域もあるとしています。
一方、IPCは2015年の見通しは引き続き大きな懸念があると警告し、2015年1月〜3月期には、250万人が「食糧安全保障における危機または緊急レベル」に置かれると指摘。IPCの予想は2015年3月までとなっていますが、南スーダンは例年5月が農閑期のピークとなっており、食糧事情は悪化すると思われます。子どもたちは食糧不足の影響を最も受けやすく、農閑期になれば、栄養不良の更なる脅威にさらされることになります。
© UNICEF/NYHQ2014-1289/Pflanz |
上ナイル州の町Kiech Konにヘリコプターで空輸された食糧などの支援物資を運ぶ女性たち。 |
ユニセフは、南スーダンの危機への対応として人道支援を大規模に拡大してきました。WFP国連世界食料計画(以下、WFPと記載)とともに、栄養不良の子どもたちへの直接的な支援を行い、また、新たに国内外のNGOをパートナーとし、必要があれば、パートナー団体の能力強化の研修を集中的に実施して、現場での対応拡大を行ってきました。
2014年4月からこれまでに、ユニセフは重度栄養不良の5歳未満の子どもたち5万5,000人以上に治療を実施。今後も支援を拡大し、今年末までに12万人の子どもたちを治療する見込みです。
遠隔地への支援にあたっては、ユニセフとWFP合同による即応ミッション(Rapid Response Mission:RRM)が重要な戦略となっています。この合同ミッションによって、昨年12月の紛争開始以降、遠隔地への人道支援を実施してきました。
即応ミッションでは、WFPは食糧を調達。ユニセフは栄養不良の診断、重度栄養不良の子どもの治療、基本的な保健サービスや予防接種の実施、安全な水とトイレの提供、家族とはぐれた子どもたちの家族との再会、基本的な教育活動などの支援活動を実施しています。
ユニセフは、栄養支援の拡大の継続と乾季の栄養物資の備蓄のために、さらに2,500万米ドル(約25億2,500万円 ※1米ドル=109円で換算)の支援を要請します。
自宅を離れ、避難生活を送る人 | 140万人(総人口:1,083万8,000人) |
避難生活を送る子ども | 74万8,647人 |
紛争によって、多くの家庭が生計手段を失い、また、作付け期に農業が行えず |
紛争前の2014年の見込み | 10万8,000人 |
紛争後 | 23万5,000人 うち、5万人が治療を受けなければ死亡の恐れ ※重度・中度の栄養不良にある子ども 84万人 |
激しい戦闘が起きている上ナイル州、ユニティー州、ジョングレイ州の一部では、IPCのレベルで5段階のうち、2番目に深刻な状況を示すレベル4(緊急レベル)、上記3州の一部ならびに東エクアトリア州ではレベル3(危機レベル)となっている。
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