2022年1月19日ペルー発
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行は、ラテンアメリカ地域の子どもたちにも大きな影響を及ぼしています。2021年9月中旬までに、この地域では約9,000万人の子どもたちが、COVID-19の影響に伴う休校などにより、学校に通えなくなったと推定されています。こうした子どもたちは、公的な教育の機会だけでなく、子ども同士で交流し、遊び、ともに成長するために必要な安全な場所を奪われています。
ペルーは、ラテンアメリカ地域で最もCOVID-19の影響を受けている国の一つです。COVID-19による死亡率も高く、地域内の国々の中でも二番目に多い死者数を記録しています。
ウカヤリ地方のマシセア保健センター長のオリンダさんは、「新型コロナのパンデミックが始まったとき、私たちはどうしていいか分からず途方にくれました。多くの人たち、とても近しい人たちを亡くしました。中には保健チームに所属するスタッフもいました」と振り返ります。
パンデミックの収束に重要な役割を果たす新型コロナワクチンを、まずは医療従事者や高齢者、リスクの高い人々が接種できるよう、ユニセフはパートナーとともに、様々な工夫や取り組みを重ね、ワクチンを届けています。その際の課題は、必要な数のワクチンの確保にとどまりません。ワクチンを安全に保管しながら、アクセスが困難な地域を含むペルー全土に届けなければならないという、輸送上の課題があります。
そこで登場するのが、コールドチェーンです。
コールドチェーンとは、一貫した温度管理を必要とするワクチンの保管・管理・輸送をおこなう「低温物流システム」です。ユニセフはパートナーと協力し、ペルーのコールドチェーン機能を強化し、ワクチンを安全に、確実に届けるために取り組んでいます。新型コロナワクチンの提供のため、太陽光発電式の冷凍庫や冷蔵庫を含む、コールドチェーンに欠かせない機器1万1,000個以上の調達を支援し、機器使用に関する研修も同時に実施しています。
また、地理的なアクセスが悪く、物資を届けるのが困難な地域である、アンデス地方のフアンカベリカ、アマゾン地方のロレートとウカヤリといった先住民族が暮らす農村地域にも、数十台の冷凍庫を運び、設置しました。
「河川に沿ってワクチンを輸送しなければなりません。長い距離ですが、コールドチェーンを途絶えさせることはできません」と、ロレート地方の保健局長のカルロス・カランパ医師は言います。「この冷凍庫のおかげで安定した量の氷を継続してつくることができるので、さまざまな河川の流域に住む人々にもワクチンを届けることができます」
しかし、地域によってはワクチンを届けるまでに何日間もかかることもあり、農村地域の人々がワクチン接種から取り残されないようにすることは、いまも続く課題であると、オリンダさんは言います。
「川を7日間も遡ってようやくたどり着くような場所に住んでいる人々もいるのです」(オリンダさん)。
学校や地域社会、人々が集まる礼拝の場などに、人々が集うことを可能にするワクチンは、ペルーの人々にとって最高の希望です。COVID-19のパンデミックを終わらせ、以前のように家族や親しい人々と再び肩を寄せ合って交流できるようになる日を、誰もが待ち望んでいます。