2022年3月17日東京/ウクライナ発
戦闘激化から3週間が経過するなか、ウクライナの子どもたちが置かれている状況は、ますます深刻になっています。
子どもたちは命を奪われ、傷つき、避難を強いられ、心にトラウマを負っています。
2月24日以降、150万人以上の子どもが国外への避難を余儀なくされています。平均すると、毎日7万5,000人以上、1分あたりでは55人、1秒あたりでは約1人のペースで、ウクライナの子どもたちが難民になっているのです。
ウクライナ緊急募金へのご寄付、500万米ドルを追加拠出
危機が深まる中、ユニセフはウクライナ国内および近隣諸国の子どもたちと家族が必要とする支援を届けるために、24時間体制で支援活動を続けています。
ウクライナと周辺国におけるユニセフの人道支援活動を支えるため日本ユニセフ協会が2月25日に開設した「ウクライナ緊急募金」に、非常に多くのご協力をお寄せいただいております。あたたかいご協力に心より御礼申し上げます。
お寄せいただいた募金は、今月3日に200万米ドル(約2億3,000万円)、15日はさらに500万米ドル(約5億8,400万円)を拠出いたしました。お寄せいただく募金は、今後も随時、拠出をおこなってまいります。
ウクライナ国内における、ユニセフの支援活動(3月16日時点)
現地におけるユニセフの支援活動について、最新の情報をお届けします。
- 3月5日に第一便として到着したユニセフ支援物資のうち、助産キット、産科キット、外科医療キット、救急バッグ、診断用および治療用の医療器具を、キエフ市内および周辺地域の一時保管施設に届けました。
また同様の物資を、チェルニヒフ、キエフ、ハルキウ、ポルタヴァ、ドネツクの最も被害を受けている地域の20の病院・医療施設にも提供しており、約2万人の妊婦や子どもたちの救命医療を支えています。
- 68トンのユニセフ支援物資を積んだ22台のトラックが、今後数日間でリヴィウに到着する予定です。物資には、保健・医療用品(助産キット、手術キット、産科キット、酸素濃縮器、保冷ボックスなど)、毛布や冬服、衛生用品、幼児期の子どもの発達を支える学習キット、心のケアにつながるレクリエーションキットなどが含まれています。
- 衛生用品キット(家庭用・妊産婦用・施設用)、赤ちゃん用おむつ、消毒剤、ペットボトルの飲料水などを、ウクライナ東部の保健施設などに提供しました。これらの物資は、紛争の影響を受けている家族に配布されます。
- ウクライナ全域の子どもたちの保護と心理社会的サービスを拡大するため、移動式子ども保護チームは、9チームから47チームへと人員を増やしています。
- キエフ市内と周辺の5つの産院の5,000人の妊婦と新生児のニーズに応えるため、救命救急のための医療用品を提供しています。
- 子どもがいる家庭の基本的なニーズを満たすため、26万5,000世帯以上を対象に現金給付支援を予定しています。
- ウクライナ国内ではすべての学校が閉鎖されており、子どもたちの教育の機会も失われています。学習の再開を支援するため、100の移動式の学習支援チームを編成しています。
そのうち15チームは、交通機関の駅、集合センター、国境に常駐し、約6,000人の子どもたちに支援をする予定です。また今後数日間で、乳幼児期の子どもの発達をささえるECDキット160個を配布し、未就学年齢の子どもたち約8,000人の学習を支援する予定です。
ウクライナ周辺国における、ユニセフの支援活動(3月16日時点)
ユニセフは、ウクライナ国内にいる子どもたちだけでなく、国境を越えている150万人の難民の子どもたちにも支援を提供しています。難民の家族の避難生活を支えるため、衣類、寝具、毛布、テント、発電機、ベビーフード、栄養補助食などの支援物資を提供している他、予防接種や教育支援、心のケア支援、現金支給支援をおこなっています。
またユニセフは、ウクライナの子どもたちと家族の安全を守るための「ブルードット」という支援拠点を、ウクライナと国境を接する周辺国の26カ所への設置をすすめています。
非常事態の際、幼い子どもは特に人身売買や虐待などのリスクにさらされるため、子ども一人ひとりを登録し、安全な居場所を確保し、必要に応じて保護することが非常に重要です。ブルードットでは、難民の家族への支援として、食料や水の提供、交通手段や宿泊場所を確保するほか、健康チェックも行います。子どもたち用の遊び場もあり、子どもの保護の専門家による心のケア支援も提供しています。各国のブルードット設置の状況は下記のとおりです。
- モルドバでは、オタチ国境、パランカ国境、モルデエキスポ受付センター近くの3カ所で、ブルードットが稼働しています。
- ルーマニアでは、シゲット国境にブルードットが設置され、危機が始まって以来、すでに約2,500人のウクライナの女性と子どもたちが利用しています。
- ポーランドでは、近日中に、10カ所のブルードットが開設予定です。
- ハンガリーとスロバキアにおいても、ブルードットの設置が計画されています。
■ユニセフ「ウクライナ緊急募金」ご協力のお願い
8年にわたって続く東部地域の紛争や、昨今の武力行為の激化の影響を受けるウクライナの子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ウクライナ緊急募金」を受け付けております。
水や電気を絶たれたり教育の機会を奪われたり、避難を余儀なくされるなど、紛争による直接的・間接的な影響を受ける子どもたちをはじめ、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。