2022年8月22日ニューヨーク発
ウクライナでの戦闘激化から6カ月が経過する中、国連は2月以降、ウクライナの約1,000人の子どもたちが暴力によって死亡または負傷したことを確認しました。
戦闘激化から半年
明らかになったのは、以下の状況です。
- この6カ月の間、毎日平均およそ5人の子どもが死傷している。
- 362人の子どもが死亡。うち女の子が149人、男の子が175人、性別不明の子どもが38人。
- 負傷した子ども610人。うち女の子が172人、男の子が236人、性別不明の子どもが202人。
国連が記録した民間人の死傷者の多くは、子どもを含め、人口密集地での空爆、ミサイル、重火器など、爆発性兵器の使用によるものです。被害を受けた子どもの中には、非常に重篤な怪我や精神的苦痛に苦しむ子どもが多くいます。視力、聴力、手足を失う場合もあり、またほとんどすべての子どもが、重要かつ持続的な心理社会的支援を必要としています。
爆発性兵器は、間接的にも子どもたちに深刻な被害を与えています。特に人口密集地では、水道管、電力インフラ、衛生施設、病院、学校などの重要な施設やインフラを破壊し、子どもたちに必要なサービスを断絶しています。
* * *
6カ月間にわたるウクライナでの戦闘が子どもたちに及ぼしている甚大な影響について、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは以下の声明を発表しました。
毎日5人以上の子ども死傷
約半年前に戦闘が激化して以来、ウクライナでは少なくとも972人の子どもが暴力によって死傷しており、平均すると毎日5人以上の子どもが死傷していることになります。これは国連が確認できた数字に過ぎず、実際の人数はもっと多いはずです。
子どもの犠牲のほとんどは、爆発性兵器の使用によるものです。特にウクライナで行われているような人口密集地での使用は、民間人も戦闘員も区別しません。その被害は例えばマリウポリ、ルハンスク、クレメンチューク、ヴィンニツァなど、数え上げればきりがありません。
すべての戦争と同様に、またしてもおとなの無謀な決断が子どもたちを極度の危険にさらしているのです。こうした武力行使で、子どもたちに被害が及ばないものはありません。
10校に1校が攻撃受ける
一方、攻撃で子どもが殺されたり、身体的に傷つけられたりする恐ろしさに加えて、ウクライナのほぼすべての子どもが、深い苦しみを伴うできごとを目の当たりにしており、暴力から逃れてきた子どもたちは、家族の離散、暴力、虐待、性的搾取、人身売買などの大きな危険にさらされています。
約1週間後の新学期の開始は、ウクライナの子どもたちがどれほど多くを失ったかを突き付けます。
ウクライナの教育システムは、国中で激化する戦闘行為によって壊滅的な打撃を受けています。学校が標的にされたり、紛争当事者に利用されたりした結果、家族が安心して子どもを学校に通わせることができなくなりました。私たちは、ウクライナの10校に1校が損傷または破壊されたと推定しています。
必要なのは平和
危機に巻き込まれた子どもたちも含め、すべての子どもたちは、学校に行って学ぶ必要があります。ウクライナにいる子どもたちや避難している子どもたちも例外ではありません。
ユニセフは、ウクライナにおける即時停戦と、すべての子どもたちを危険から守るよう訴え続けています。これには、人口密集地での爆発性兵器の残忍な使用や、民間施設やインフラへの攻撃の中止を含みます。
ウクライナの子どもたちは、安全、安定、安心して学べる環境、子どもの保護サービス、心理社会的支援を緊急に必要としています。しかし、ウクライナの子どもたちにとって何より必要なのは、平和です。
■ユニセフ「ウクライナ緊急募金」ご協力のお願い
東部ヨーロッパに位置するウクライナで、2022年2月に武力紛争が激化して半年。
今すぐに人道支援を必要としている子どもの数は、ウクライナ国内で300万人、避難先の難民受け入れ国で220万人以上にものぼっています。
ユニセフはウクライナ国内に留まり、子どもたちと家族のための支援活動を継続するとともに、周辺国に避難しているウクライナ難民支援も強化しています。
その活動を支えるため、日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ウクライナ緊急募金」を受け付けております。
避難を余儀なくされ、教育の機会を奪われ、恐怖におびえ心身ともに影響を受けている子どもたちとその家族に、人道支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。