2023年1月20日東京発
1月24日の「教育の国際デー」は、世界の平和と開発のために教育が果たす重要な役割を確認し尊重することを目的に、2018年12月3日の国連総会で制定されました。そして翌2019年1月24日が初めての「教育の国際デー」となりました。
教育はすべての人の権利
すべての人が教育を受ける権利を有することは、世界人権宣言の第26条にうたわれています。条文では、少なくとも初等および基礎的段階の教育は無償でなければならず、初等教育は義務的でなければならない、とされています。
1989年に採択された「子どもの権利条約」でも同様に教育の機会を保障しており、さらに、能力に応じてすべての人が高等教育を受ける機会が与えられる、とうたっています。
教育はまた、持続可能な開発のカギも握っています。
2015年9月に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標4では、2030年までに「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」ことを目指しています。国連総会では、17の目標すべてを達成するためには教育が不可欠であることも確認されました。
教育の重要な役割
「教育の国際デー」を制定する際、各国は、教育の役割について以下のことを確認しました。
- 教育は、持続可能でレジリエントな社会の構築において重要な役割を果たし、「持続可能な開発目標」のすべての達成に貢献する
- 個人の生産性を上げる
- 経済成長の可能性を高める
- ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に必要な技能を習得させる
- 水と衛生やグリーンエネルギー、天然資源の保全などの分野での持続可能な開発に必要な専門技能を磨く
- 貧困と飢えの撲滅に役立つ
- 健康の向上に寄与する
- ジェンダー平等を推進する
- 不平等をなくすことができる
- 平和や法の支配、人権の尊重を推進する
世界各国はまた、すべての人々が、就学前教育から、初等・中等・高等教育まで、また技術・職業訓練や遠隔教育といったすべての段階と形態において、生涯にわたって教育を受けられるように取り組むことの重要性を、認識しました。
データでみる教育機会の喪失
2021年時点で、世界の約2億4,400万人が学校に通えていません。
また、6億1,700万人の子どもと若者が基本的な算術と読み書きの能力を欠いています。10歳児の3分の2は簡単な物語を読んで理解することができないとの推計もあります。
サハラ砂漠以南のアフリカでは、中学校を卒業している女の子は40%以下で、約400万人の難民の子どもや若者が学校に通えていません。
どこに生まれても、どのような状況下におかれても、教育を受ける権利は守られなければなりません。
教育の国際デーのテーマ
2023年のテーマは「To invest people, prioritize education(人に投資を、教育を最優先に)」です。
2023年9月の持続可能な開発サミットでは、SDGs達成に向けた進捗状況を確認し、「人への投資」をテーマに検討することになっています。これを踏まえ、今年の教育の国際デーでは、目標達成のために政治的行動を取るよう引き続き強く働きかけることと、各国政府の公約や国際的な構想を行動に移すための道筋を示すことを呼びかけます。
今こそ教育を最優先に
世界的な不平等の拡大や、気候変動といった課題が山積する中、世界の未来を変えることができるのは、次世代を担う子どもたちと若者です。
よりよい未来のためには、すべての子どもと若者が教育の機会を享受できなければなりません。教育は平和の構築にもつながります。平和で安定した社会をつくっていくためにも、今こそ教育を最優先に、誰も取り残さない支援をしていかなければなりません。