2023年12月18日ジュネーブ/キーウ発
ウクライナでインフラに対する攻撃が激化していることを受け、ユニセフ(国連児童基金)欧州・中央アジア地域事務所代表のレジーナ・デ・ドミニチスが以下の声明を発表しました。
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厳冬下、インフラ被害に警鐘
冬が深まっていく中、ウクライナ全土でインフラへの攻撃が激化しており、特に東部と南部では容赦ない砲撃が行われています。
この1カ月、ウクライナ全土で空爆の回数が増えており、1週間に900回以上の爆撃が記録されています。この1週間の動きは、キーウのインフラを標的とした広範な攻撃など、弾道ミサイルと大量のドローン攻撃の増加という懸念すべき傾向を示しています。先週の木曜日には、1日で5回の全国的な空襲警報が発せられました。
このような攻撃で、子どもたちが負傷し、すでに深い苦境に陥っているコミュニティにはさらなる不安と恐怖の波が押し寄せています。また、ウクライナ全土の何百万人もの子どもが電力、暖房、水を断続的にしか利用できず、気温が急降下する中、ますます深刻な危険にさらされています。
何百万人もの子どもが危険に
最も危険にさらされている子どもや家族は、そもそも基本的な、生命を左右するようなリソースを、最も利用できずにいる人たちであり、すでに計り知れない苦難に耐えている人たちなのです。このような子どもやその家族は、頼れるものが何もないのです。
冬の間、通常、気温は氷点下20℃まで下がり、冷たい強風がさらに体感温度を低下させます。電気などのエネルギーがなければ、子どもたちはこのような状況には耐えられません。
停電や電力の供給停止により、医療施設が重要なサービスを提供することは非常に難しくなっています。ウクライナ全土の子どもの間で肺炎、季節性インフルエンザ、水系感染症の症例が増加している中、また新たな悲惨な状況を招いています。
またエネルギーがなければ、ただでさえ脆弱な教育システムが再び立ちいかなくなり、ウクライナの子どもたちの学習はさらに混乱します。
拡大し続ける人道的大惨事
ウクライナでの戦争の激化以来、およそ1,800人の子どもが死傷しています。これは確認された数字であり、実際はもっと多いでしょう。民間人の居住区やインフラに対する標的型攻撃が続く中、死傷する子どもの数はさらに増えることが予測されます。
ユニセフは、ウクライナ政府が給水、暖房、保健、教育の各施設の稼働を維持できるよう、発電機やその他の機器を提供しています。最も被害の大きかった地域では、ユニセフは子ども用の冬服一式と家族のための毛布を提供しています。また、現金給付による支援も行っています。
緊急の人道支援を必要としているすべての子どもに手を差し伸べるためには、より多くの資金が必要です。現在、ユニセフが資金要請を行っている越冬支援の計画には、3,400万米ドル以上が不足しています。
結局のところ、攻撃が止み、戦争のルールが尊重されない限り、人道的大惨事は拡大し続け、子どもと家族はさらに想像を絶する苦しみを味わうことになるでしょう。