2024年7月22日ニューヨーク発
昨年10月以来、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区パレスチナ人の子どもが合計143人亡くなった、とユニセフ(国連児童基金)は発表しました。それに先立つ9カ月間に41人のパレスチナの子どもが亡くなっており、250%の増加です。昨年10月以来ヨルダン川西岸で紛争関連の暴力で亡くなったイスラエルの子どもは2人です。さらに、440人以上のパレスチナの子どもが実弾で負傷しています。これらの数は、最も弱い立場にある人々に対して無用かつ過度に武力が用いられていることに対し、重大な警告を発しています。
子どもに対する暴力増、ガザ戦闘激化とともに
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。「東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区に暮らす子どもたちは、ここ何年もの間、恐ろしい暴力にさらされてきました。ガザでの戦闘の激化と時を同じくして、状況は著しく悪化しています。私たちは、パレスチナの子どもたちが学校から帰宅する途中で拘束されたり、街を歩いているときに銃撃されたりしたという申し立てを頻繁に目にしています。暴力行為は今すぐ止まなければなりません」
ヨルダン川西岸地区では11の県のうち10県で死傷者が出ており、死者の半数以上はジェニン、トゥルカレム、ナブルスで発生しています。これらの地域では過去2年間、大規模かつ軍事化された法の執行が増加しており、その程度と範囲が変化していることを示しています。
東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区における緊張の高まりは、命に対する恐怖を日々抱いている何千人もの子どもや家族の心身のウェルビーイングにも影響を与えています。子どもたちは、近所を歩くのも、学校に行くのも怖いと訴えています。
2023年10月7日以前、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区の子どもたちは、過去20年間で最も高いレベルの暴力にさらされており、昨年の年初以来9カ月間でパレスチナの子どもが41人、イスラエルの子どもが6人亡くなりました。また、移動とアクセスの制限により、子どもたちの日常生活には大きな支障が生じています。
ユニセフ、子どもの保護を強く訴え
ユニセフは当事者に対し、殺傷を含む、子どもたちに対する重大な権利侵害を直ちに終わらせ、これがさらに起きないようにすることをあらためて要求します。当事者は、子どもを保護する国際法上の義務を遵守しなければなりません。子どもの生きる権利は守られねばならず、子どもは誰であろうと、どこであろうと、暴力の標的になってはなりません。
「パレスチナとイスラエルにおける暴力の真の代償は、この暴力によって失われた、もしくは永遠に変えられてしまった、子どもたちの命で測られるでしょう。子どもたちが切実に必要としているのは、暴力の終結と危機に対する永続的な政治的解決です。それはすなわち、平和で安全な環境の中で、子どもたちが最大限の可能性を発揮できるようにすることなのです」(ラッセル事務局長)