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日本ユニセフ協会

ガザ人道危機 緊急募金

ユニセフ、ガザの200万人に安全な水を届ける
水関連施設の約3分の2が破壊・損壊
安全な水が手に入らず、高まる感染症の脅威

2024年10月23日ガザ(パレスチナ)

2023年10月以来、約190万人が避難生活を送っているガザ地区では、砲撃や爆撃によって、浄水場や下水処理場などの水関連施設の約3分の2が破壊あるいは損壊し、安全な水の製造能力が激減しています。その結果、子どもたちやその家族は安全な飲み水を手に入れるため、毎日飲み水を探し求めなければなりません。水くみの仕事を担う多くが子どもたちです。

ヤナさん(12歳)は、「水を手に入れるのは一苦労で、そのために長い距離を歩かないといけないの」と言います。ユニセフが支援する給水車が運んできた水を容器に入れながら、「長い距離を歩かないですむように、給水車が毎日ここに来てくれたらいいなと願っています」と話します。

ガザ地区でユニセフが支援する給水車から水を入れ、家族のもとに水を運ぶヤナさん。(ガザ、2024年7月9日撮影)

© UNICEF/UNI613726/El Baba
ガザ地区でユニセフが支援する給水車から水を入れ、家族のもとに水を運ぶヤナさん。(ガザ、2024年7月9日撮影)

 

12歳のオマールさんは、水を載せた押し車を押しながら、「1日4回以上、水を容器いっぱいに入れて運んでるけど、それでも家族みんなのためには足りません。毎日、水をくむために遠くまで行っています」と話します。「でも今日は、給水車が来てくれたから、水くみに行かなくていいんだと安心しました」

ヘバさん(11歳)も、ユニセフの給水車が来てホッと胸をなでおろした一人です。「給水車が来なかったら、炎天下を長い道のりを歩いて、水をくみに行かなければならないから」

ユニセフの給水車からくんだ水を押し車に乗せた、12歳のオマールさん(ガザ、2024年7月9日撮影)

© UNICEF/UNI613743/El Baba
ユニセフの給水車からくんだ水を押し車に乗せた、12歳のオマールさん(ガザ、2024年7月9日撮影)

 

ユニセフの給水車から水を汲んだ11歳のヘバさん(ガザ、2024年7月9日撮影)

© UNICEF/UNI613731/El Baba
ユニセフの給水車から水をくんだ11歳のヘバさん(ガザ、2024年7月9日撮影)

 

 

不衛生な生活状況で、感染症の蔓延も

水の不足がもたらす、もう一つの重要なリスクは、病気の蔓延です。衛生状態が劣悪なため、疾病に苦しめられている子どもも多くいます。

「からだを洗うきれいな水がなくて、いつもかゆいの」と話すアフマドさん(8歳)。身体に出ている発疹を怖がって、ほかの子どもたちは一緒に遊んでくれないと言います。

「アフマドは、身体中がかゆくて十分に眠れていません。水は汚くて、シャンプーやせっけんのような衛生用品も入手が難しいのです」と母親のファティマさんは嘆きます。

ワヒッドさん(7歳)も同じような状態に苦しんでいます。「足にぶつぶつができて、いたいの」。ワヒッドさんの母親は、発疹が体中に広がるのではないか、歩こうとするだけでも我慢できないほど痛いのではないか、と心配しています。

発疹で覆われているアフマドさんの背中を指差す母親のファティマさん(ガザ、2024年8月撮影)

©UNICEF Video
かゆみに苦しむアフマドさんの背中を指差す母親のファティマさん(ガザ、2024年8月撮影)

 

発疹で覆われているアフマドさんの背中(ガザ、2024年8月撮影)

©UNICEF Video
発疹で覆われているアフマドさんの背中(ガザ、2024年8月撮影)

 

多くの人の命をつなぐ、ユニセフの水支援

きれいで安全な水を子どもたちと家族に届けるため、ユニセフは、水道システムの修繕とメンテナンス、および浄水処理資材の提供などを支援してきました。また、水の供給網がない国内避難民の避難地域には、緊急の給水車を派遣し、安全な水を供給しています。ガザ地区の避難所への給水車による水供給や衛生分野の支援など、ユニセフは現在までに、80万人以上の子どもたちを含む推定200万人に支援を提供しました。

それでもなお、ニーズは山積みです。ガザ地区各地の避難所では、子どもたちと家族が、時には何百人も長い列に並んでトイレを待っており、中にはバケツに排泄せざるをえない場合もあります。ユニセフはパートナーとともに安全な水の供給の支援はもとより、衛生キットや生理用ナプキン、折り畳み式水容器など、水と衛生の支援物資を家族に提供しています。

しかしそれだけでは十分ではありません。ガザ地区の子どもたちは日ごとに新たな恐怖に直面しています。暴力と困窮が、子どもたちのこころと身体に一生消えない傷跡を残しています。ユニセフは、紛争に関わるすべての当事者に対し、民間人と重要なインフラを守るよう求めています。これには、水、食料、避難所、保健医療など、生きていくために不可欠なインフラや社会サービスを人々が入手あるいは利用できるように、安全で妨げのない人道支援活動を保障することも含まれています。