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財団法人日本ユニセフ協会



フィリピン・レイテ島 地滑り災害
急ピッチで進む被災者支援活動

【2006年2月20日、フィリピン・セントバーナード発】
地滑りで土砂に埋め尽くされた範囲は40ヘクタール以上にも及ぶ

2月17日(金)にフィリピン・レイテ島で発生した大規模な地滑り災害を受けて、被災者支援のための緊急支援物資が国際社会から続々と到着しはじめました。必須医薬品や医療器材、浄水錠剤などをはじめとするユニセフからの支援物資第1便も翌18日には現地に到着。フィリピン国軍、フィリピン赤十字との間で支援活動の調整が進められています。

現在のところ行方不明者は1,000〜1,500名にのぼり、80名を超える遺体が収容されています。現地では現在も雨が降りつづき、生存者の捜索・救出作業を阻むとともに、第2の地滑り災害の発生も危ぶまれています。「事態は相当に深刻です」ユニセフ・フィリピン事務所代表のニコラス・アリプイ博士は語りました。「被災地では新たな熱帯性低気圧の発生が見込まれ、さらに大規模な地滑りが起こる可能性も指摘されています。私たちは最悪の事態に備えて準備を整えているところです」

避難センター

ギンサウゴン地区近辺の保健センターで支援を待つ母子

レイテ州ギンサウゴン地区の村を大規模な地滑りが襲ったのは2月17日の午前9時頃のこと。過去2週間にわたって降りつづいた雨のせいで、カン・アバグ山の斜面の一部が侵食され、地滑りが発生。村の90%が土砂で埋め尽くされました。

300戸を超える家々と小学校が、瞬く間に土砂に飲み込まれたのです。「捜索と救出活動は小学校を中心に進められています。土砂が押し寄せたとき、学校のなかには全国テストを受けるために集まった253名の生徒が校舎の中にいたのです」とアリプイ博士は語りました。救出された児童は20名のみ。行方不明者のなかには教員6名と校長も含まれています。

第2の地滑り災害のおそれを受けて、近隣の村々では4,000名を超える住民が7カ所の避難センターに避難しています。

救援キット

救援活動にあたるフィリピン国軍の兵士。

アリプイ代表は、近隣諸国や国際社会から支援が続々と表明されていると述べました。総勢200名の米の海兵隊が救援活動を支援。「現在の課題は、各機関・団体による支援の調整を図ることです」現在のところ、救援活動の焦点は水と衛生、どのくらいの医療支援が必要かの評価、生存者の栄養補給の確保にあてられています。国連の災害調整チームがまもなくレイテ島南部の被災地に派遣され、支援ニーズの把握にあたる予定です。

21日(火)、ユニセフは医療スタッフを含む救援チーム第2陣を派遣し、1,400世帯分の救援キットを現地に届ける予定です。キットのなかには蚊帳、毛布、マット、調理道具、食器や水を入れる容器などが入っています。「避難センターに避難している人々は食べ物を自分たちで調理したがっているのですが、材料や道具がなにひとつない状態なのです」とソーシャルワーカーのロマナ・キソンさんは語りました。

追加の医療器材も緊急に求められています。避難所に避難している子どものなかには、呼吸器関連の感染症に感染したり、下痢を起している子どももいます。このような緊急事態においては、下痢による脱水症が命とりになることもあります。ユニセフはまた、被災したコミュニティの児童800人を対象に教育を再開すべく、地元当局と協力しています。

ユニセフでは、被災した子どもたちに対して、栄養、水と衛生、保健、心理ケアの面から支援をすすめています。又、子どもたちが搾取や人身売買の被害にあわないようにするための活動や、いち早く日常の生活を取り戻せるようにするため、教育の再開への支援も行っていきます。

日本ユニセフ協会では、フィリピンの地滑り災害にあった人々を支援するための緊急募金の受付を開始しました。