ユニセフ
◆スーダン・ダルフール地域緊急支援(6)◆
緊張高まるダルフール難民
難民がスーダンのダルフール地域から国境を越えて逃れてきているチャド東部では、緊張が高まっています。チャドでは11ヶ所の難民キャンプに20万3,000人が避難しており、ダルフールでの危機的な状況が続けばさらに多くの難民が流入する可能性があります。
難民の流入はチャドの限られた資源への重圧になっており、難民キャンプの周辺に暮らす村人は、彼ら自身も水や食糧の不足に苦しんでいると訴えます。また、民族間の衝突やスーダンの反政府勢力が台頭しているとの情報もあります。
2005年1月9日、20年以上内戦を繰り返してきたスーダン政府と反政府勢力は、その長い戦いに終止符を打つ包括的和平協定に調印しました。この和平協定が、150万人から家を奪ったダルフール紛争の終結にも道を開いてくれるとの期待がありますが、厳しい状況は依然として続いています。この地域での2年間にわたる紛争の犠牲者は、約7万人と推定されています。
学校を通じた支援
ユニセフは、スーダンやチャドで暴力や搾取の危険にさらされている子どもに対して深く憂慮しています。そして子どもの保護活動や支援、カウンセリングを提供できる人材養成に取り組んでいます。
学校や勉強用のテントがチャドの難民キャンプ内部に設置され、学齢期にある4万4000人の子どもたちが通っています。学校は、紛争を逃れてきた子どもたちに日常や正常の感覚を提供するだけではなく物理的な保護環境も提供しています。
「約半数の子どもが第1学年に入学しているという事実から、多くの子が難民キャンプで初めて読み書きを学ぶ機会を得たということが分かります」とユニセフの緊急支援プログラムオフィサーは話します。「しかし、教育が必要なのは難民の子どもたちに限ったことではありません。極端に貧しいチャドのこの地域では、地元にある学校の多くが何年もの間閉鎖されています。ユニセフは、難民であろうと地元のコミュニティの子どもたちであろうともすべての子どもたちが学ぶ機会を得ることができるように支援していきたいと考えています」
学校には水道やトイレをつくり、清潔な水や衛生施設も提供していきます。特に、慢性的な水不足に悩むチャド東部では、水や衛生施設の提供は重要課題です。ユニセフでは、公衆衛生の推進と疾病の蔓延を防ぐため、すべての新しい校舎にトイレと手洗所をつけています。キャンプの周辺では汚染された水が原因となって死亡したりE型肝炎の症例が数百件報告されているのです。最近数週間では髄膜炎の症例も確認されました。保健員の研修、ワクチンの貯蔵や輸送に不可欠なコールドチェーンの確保をを通じてユニセフはワクチンプログラムも支援しています。1月末には約17万8000投与分のワクチンが到着し、難民キャンプ内の人々へ投与されています。
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