【2015年11月7日 シエラレオネ発】
11月7日、シエラレオネでエボラ出血熱流行の終息宣言が出されました。ユニセフ・シエラレオネ事務所代表ジョフ・ウィフィンは、地域と共に行ってきた支援活動の勝利を称えるとともに、エボラの影響を受ける子どもたちへの支援を呼びかける文章を寄稿しました。
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英国の小説家グレアム・グリーンは、後に旅行記『地図のない旅』にまとめる1935年のシエラレオネとリベリアへの旅のはじめ、熱帯病への恐れを抱き、医師が決定的に不足していることを知っていたそうです。それから80年、状況は明らかに改善されました。しかし今回のシエラレオネにおけるエボラ終息宣言を迎えたとしても、この健康危機の影響で何十年間の努力が無にならないことを確かにしておく必要があると考えます。
© UNICEF/NYHQ2014-1832/Bindra |
エボラ出血熱の流行は、600万人を越えるシエラレオネの人口の半分近くを占める子どもたちに大きな打撃を与えました。シエラレオネ政府の統計によると1,459人の子どもがエボラ・ウイルスに感染し、8,624人の子どもが少なくとも片方の親を亡くしました。数千人が隔離され、さらに多くの子どもたちが、死や苦しみを身近に目撃したことで心に深い傷を負いました。180万人の就学児童は学校が再開するのを8カ月待たなければなりませんでした。そして私たちは、一部の子どもたちは二度と学校に戻って来ないのではないかと心配しています。
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この1年半、シエラレオネ国民は、国際社会の支援をもとに先例のない努力を行いました。まず始めにエボラ・ウイルスの広がりをくい止めるために、そして次に、どんなに遠隔地であっても最後の発症例を探すために。すべての人をすべての場所で恐怖に陥らせる、おそらくこれまでに世界が経験したことのない人道危機 ― それがエボラ危機でした。
とりわけこの危機は、多くのエボラ生存者を含む、全ての国民を巻き込んだ戦いでした。Kadiatu Konteさんのように、自らウイルスに打ち勝った後、地域の人々を助け隔離施設の家族に水を届けたヒーローたちや、Alfred Pujehさんのように、保護者がいない、エボラ患者に接触した可能性のある子どもたちを安全にモニターできる一時保護施設の運営にあたったヒーローたちを。
私たちは、伝染性の“レッドゾーン”において防護服で働いてきた医療従事者たちを称賛します。同時に、人々が暮らす家でまず勝利することが不可欠な戦いであったことから、コミュニティの勝利とも考えています。何世紀も続く埋葬習慣や、病気の家族の面倒をみるという人間の自然な本能を変えなくてはいけなかったことは、どんなに痛みを伴うものだったことでしょう。シエラレオネにおける心のこもった握手の習慣さえもやめなければならず、私も、フリータウンにあるユニセフのオフィスで毎日一緒に働く人々と未だ握手をしていないのです。
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私たちは、迅速に調整された対応をとらなければならないという難しいことを今回学びました。しかし、同様に大切な点である、コミュニティとともに働くことの重要性も学んだのです。2015年7月の調査では、回答者の69パーセントがエボラについての『包括的な知識』があることが分かりました。これは2014年8月の30パーセントという結果から上昇したことを示しています。
人々の行動変容のため、前例のない啓発キャンペーンが必要でした。それは防護服を着た医療従事者ほどは目を引かなかったものの、同じくらい重要なことでした。ユニセフは、世界中の供給元に大量の増産を要請し、50万着以上の防護服を供給しました。他機関と協力して、エボラの隔離のための地域ケアセンターを地方に設置しました。そして、全ての世帯、全てのコミュニティ、全ての村に安全を確保するためのメッセージを対面式で伝える個別訪問の実施も支援しました。
Aminatta Fornaは2013年シエラレオネでの小説『The Memory of Love』でこう書いています。「戦争は、人々に生き続けるよう促すものだった。貧困もまたしかり。簡単にあきらめるにはあまりに苦労して手に入れたものが、生きることだった」。エボラに打ち勝ったことは、やっと手に入れた勝利です。我々は、シエラレオネの復興をサポートしながら、この勝利を確かなものにする必要があります。
© UNICEF/NYHQ2015-0537/Bindra |
リベリアのように、我々は今後数カ月の間に別の隔離ケースが不意に発生した場合に備えて準備しなければいけません。コンゴ民主主義共和国、スーダン、ウガンダで時折ではありますが繰り返される発生は、安心の余地など決してないことを示しています。未だ隣国のギニアではエボラが終わっていません。ハイレベルの監視体制が不可欠です。世界はエボラに対して常に準備を整え、迅速に対応するためにメカニズムと資源を備える必要があります。いつかまたこのような危機に対応することがあれば、地域社会との取り組みを重視し、地域の人々の不安や信条を理解した上で、共に解決策を見つけるために資源を投入する必要があります。このことは、エボラ以外にも共通する、我々が忘れてはならないことだと思うのです。
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