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日本ユニセフ協会
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包囲された町マダヤで苦しむ子どもたち
無制限、無条件、継続的な人道アクセスを
ユニセフ・シリア事務所代表 声明

【2016年1月15日  ダマスカス発】

ユニセフは他機関と共同で、14日、シリア国内の包囲地域への2度目の人道支援物資輸送を実施。これに関し、ユニセフ・シリア事務所代表のハナア・シンガーが声明を発表しました。

* * *

 取り残された子どもたち、危機的な栄養状態

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© UNICEF/UN07558/Singer

上腕の周囲を測り、栄養状態の検査を受けるマダヤの子ども。

ユニセフは、国連や他機関と合同で今週実施した2度目の人道支援物資輸送*によって、包囲されている町マダヤに取り残された子どもたちへの支援が実現したことを歓迎するとともに、重度の栄養不良に陥っている子どもたちを確認しました。

特に、深刻な栄養不良に陥っていた16歳のアリさんの死に衝撃を受け、深い悲しみを覚えます。

ユニセフが訪問した仮設病院では、わずか2名の医師と2名の保健員が、極限の環境で医療に従事していました。ユニセフとWHOのスタッフは、5歳未満の子ども25人の上腕の周囲を測り、栄養状態の検査を行うことができました。そのうち22人が中度あるいは重度の栄養不良と診断され、現在保健施設で先日11日に国連などが輸送した特別な栄養支援物資を用いた治療を受けています。

他にも6歳から18歳までの子ども10人を診察し、うち6人が重度の栄養不良と診断されました。17歳の男の子は生死に関わる状況で、緊急の医療救助が切実に必要とされています。閉塞性分娩の状態にある妊娠9カ月の女性もまた、医療救助が緊急に求められます。

命を守る手段を奪われる人々

今回の人道支援によって明らかになった事実は、決して代表的な例ではありません。子どもたちの栄養状況の全体像を今回の訪問だけで結論付けることはできませんが、これらの事実はマダヤで今起きている状況を映し出しています。国連チームは他の人道支援機関とともに、より詳しい状況の把握をすすめる予定です。

ユニセフがマダヤで出会った人々は、疲れ果て、極度に弱っていました。医師たちは日夜を問わず、限られた設備の中で、医療を必要とする人々や子どもたちの治療をしており、精神的にも疲労困憊しています。21世紀の現在、このような状況が起きていることは、断じて受け入れられません。

ユニセフとWHOは保健員とともに、栄養不良の子どもたちの治療ケアのための入院施設と外来診療センターを設置しました。従事する保健員は、重度の急性栄養不良の治療のためのガイドラインを基に治療ケアにあたります。

人道支援を届けるために

ダマスカス近郊のユニセフの物資倉庫で、マダヤなどに向けて輸送される支援物資が積み込まれている様子。

© UNICEF/UN07491/El Ouerchefani

ダマスカス近郊のユニセフの物資倉庫で、マダヤなどに向けて輸送される支援物資が積み込まれている様子。

マダヤが直面している状況に衝撃を受けている一方で、シリア全土には、他にも14の”マダヤ”があることを忘れてはなりません。紛争に関わる複数の異なる勢力が、包囲という手段を闘いの駆け引きとして使い、子どもたちや罪なき市民から、命を守るために必要な物資や保健などのサービスを奪っているのです。

マダヤへの支援とは別に、ユニセフは12日、10台のトラックに積み込んだ支援物資を、包囲地域であるフアとケフラヤに取り残されている6,000人の子どもたちに届けました。

ユニセフは、紛争当事者全てに対し、シリアの市や町の包囲を解き、保健や栄養などの人道ニーズ調査や、現地での医療及び栄養治療ケアの提供、及び、危機的状況にある女性や子どもの緊急医療救助を可能にするための、無制限で無条件かつ継続的な人道支援を認めるよう、繰り返し求めます。

 

注釈:

*1月14日、2度目の他機関合同の人道支援物資輸送の一部として、ユニセフは24台のトラックで、毛布や子ども用冬服、下痢性疾患キット、出産キット、緊急保健キットなど1万人分の支援物資に加え、学用品が詰まった学習かばん1万2,000人分、粉末洗剤や石けん、シャンプー、浄水在などを含む衛生用品を輸送しました。前回、11日に行われた輸送では、微量栄養素や高カロリービスケット、栄養治療食、中・重度の栄養不良治療のための医薬品などを含む栄養支援物資を届けています。

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