【2017年10月16日 アンマン(ヨルダン)/ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)親善大使マズーン・メレハンさんはヨルダンを訪問し、彼女のようにシリアの紛争から逃れ極めて困難な状況にありながらも学校に通う強い意志をもった子どもたちに会いました。マズーンさんが難民キャンプで3年間過ごしたこの国を訪れるのは、2015年に家族で英国に再定住して以来はじめてです。
© UNICEF/UN0135689/Rich/Photographer |
「ヨルダンに戻り、教育を通して希望を取り戻した子どもたちに会うことで、紛争のために学校に通えない2,700万人の子どもたちのためにさらに声を上げる必要があると確信しました。私は、あまりにも長い間、紛争により学ぶ機会を奪われ、より良い未来への希望を取り上げられ、その声を消されてきた子どもたちを代弁する決意を新たにしました」とマズーンさんは言いました。
シリア人の子どもたち240万人が教育を受けていません。そのうち170万人はシリア国内にとどまっており、73万人以上はエジプト、ヨルダン、レバノンおよびトルコで難民となっています。シリア人の子どもたちの中には教室に足を踏み入れたことがない子どもがいます。5年、6年と教育の機会を失った子どももいます。
マズーンさんはアンマンの、ユニセフが支援するマカニ・センターで子どもたちに会いました。14歳のセドラさんは、10歳の時に家族とともにシリアの紛争から逃れてきました。2年間学校に通えませんでしたが、今は公立学校に通うために勉強に追いつこうと支援を受けています。彼女の夢はいつか司法アドバイザーになることです。
マカニ・センターでは、シリア難民を含むヨルダンに暮らす弱い立場にある子どもたちに対して、非公式な学習プログラム、心理社会的ケアや生きていくために必要なライフスキルのトレーニングを提供しています。センターでは、子どもたちが公立学校に通えるようにするための支援もしています。
「セドラの体験を聞いて、自分と家族が紛争から逃れた時を思い出しました。私は、家や学校を離れることがすごく悲しくて、そして怖かった。その時の私が持ち続けた唯一の希望は、勉強を続けるということ」とマズーンさんは言いました。
© UNICEF/UN0135665/Rich/Photographer |
4年前にマズーンさんがシリアの暴力から逃れることを余儀なくされたとき、彼女の唯一の持ち物は教科書でした。彼女は約3年間ヨルダンで暮らしましたが、そのうち18か月を過ごしたザータリ難民キャンプでは、より多くの女の子に教育を受けさせることを自らの使命としました。彼女は、テントを1張ずつ訪ね、子どもたちを学校に通わせ教育を受けさせるように親を説得して廻りました。そして、彼女の教育の活動家としての強い意志が、2017年6月にユニセフ史上最も若い親善大使として任命されることに繋がったのです。
「教育は子どもたちが持っている可能性を存分に発揮するために必要な知識と技術を与えてくれます。そして、学校は難民生活を送るシリアの子どもたちが困難を乗り越えるための、安定と日常も提供してくれます」とユニセフ・ヨルダン事務所代表ロバート・ジェンキンスは述べました 。「ヨルダンはシリア人の子どもたちが教育を受けられるよう大変な努力をしています。しかし、これまでの成果をさらに積み上げるために、国際社会からの支援が緊急に必要なのです」
紛争開始以来、ユニセフはパートナー団体と共に、シリア危機の影響を受ける子どもたちに対して公式・非公式の教育の機会を提供してきました。ヨルダンおよびレバノンでは500校近くの学校に午前と午後の二部制を導入し、難民受入諸国において「再び学ぼう(back-to-learning)」キャンペーンならびに約1,000の教室の修復を支援しました。しかし、深刻な資金不足により、より多くの子どもたちに支援を届けることが阻まれています。ユニセフは、シリア紛争の影響を受ける子どもたちへの教育支援に必要な資金の半分しか獲得できていません。
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