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日本ユニセフ協会
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ラテンアメリカ・カリブ海諸国
ハリケーン「イルマ」「マリア」の猛威から3カ月
東カリブ海諸国など、長引く避難所生活
35万人の子どもが今なお人道支援必要

【2017年12月13日  パナマシティ(パナマ)/ニューヨーク発】

5段階で最も強い「カテゴリー5」の勢力を持つハリケーン「イルマ」と「マリア」が、カリブ海諸国で猛威を奮い、広範囲に損壊・損傷をもたらし、多くの命を奪ってから3カ月が経ちますが、地域に暮らす何千人もの子どもたちは依然として支援を必要としています。

ハリケーンの猛威から3カ月

避難所の床に並べられたマットレスに寝転ぶ子どもたち。(ドミニカ共和国)2017年9月撮影

© UNICEF/UN0119421/Valenzuela

避難所の床に並べられたマットレスに寝転ぶ子どもたち。(ドミニカ共和国)2017年9月撮影

3カ月前、大西洋で観測史上最大級の勢力をもったハリケーン「イルマ」は、東カリブ海諸国、ハイチ、およびキューバに多大な被害をもたらしました。続いて発生したハリケーン「マリア」も地域全体にさらなる被害をもたらし、ユニセフ(国連児童基金)は、2つのハリケーンの影響で人道支援を必要としている子どもは35万人にのぼると推計しています。

「ハリケーンが上陸する前から、ユニセフは現地において、各国政府および現地パートナー団体と協力し、最もリスクの高い地域において、コミュニティの災害対策と人道支援物資の備蓄を支援しました」とユニセフ・ラテンアメリカとカリブ海諸国地域事務所代表のマリア・クリスティナ・ペルスヴァル(Maria Cristina Perceval)は述べました。それらの物資には、安全な水・避難所・社会サービスが不足した際、緊急対応に最も必要とされる、命を守るための支援物資が含まれます。

「3カ月が経過した今も、ユニセフは被災した国々や地域で活動を続けており、家族が生活を再建し、子どもたちが日常を取り戻すための支援をおこなっています」(ペルスヴァル)

支援を必要な子ども、今なお35万人

学校に避難していた住民が家に戻ることができ、授業が再開された。(ハイチ)2017年9月撮影

© UNICEF/UN0120346/Bradley

学校に避難していた住民が家に戻ることができ、授業が再開された。(ハイチ)2017年9月撮影

しかし、最も弱い立場にある家族の多くは未だに影響を受け続けており、課題も残されています。

ドミニカ共和国では、子どもの35%以上、特に避難所に暮らす子どもたちが、いまだに教育を受けることができていません。アンティグア・バーブーダでは、多くの子どもや家族がいまだに避難所生活を送り、家に戻ることができていません。

ユニセフは、政府およびパートナーNGOと協力して、最も影響を受けた人々に対して、緊急人道支援を提供するにとどまらず、長期的な復興およびレジリエンス(災害への対応力・回復力)強化にも取り組んでいます。

「多くの人々が日常を取り戻してはいますが、ハリケーンを生き延びた子どもたちと家族は、自宅やコミュニティ、そして生活を取り戻すために、継続した支援を必要としています」(ペルスヴァル)

ユニセフの支援活動

ユニセフは、各国政府およびパートナー団体と協力して、復興・レジリエンス強化に重点を置いたプログラムを通じて、子どもたち、家族、そしてコミュニティを支援してきました。支援活動には以下が含まれます。

アンギラ

  • ・保健省、教育省、人間開発省による研修活動を支援。すべての幼稚園教員が、幼い子どもと養育者に適応させた「Return to Happiness」プログラムを通じて研修を受けている。

アンティグア・バーブーダ

  • アンティグアでは、仮設避難所における保護の取り組みを高めるため、避難所の運営管理者を対象に政府が行っているジェンダーに基づく暴力(GBV)に関する研修を支援。
  • バーブーダから避難してきた子どもたちをアンティグアの教育制度の下で教育を受けられるようにする支援。ユニセフは、教育省と連携し、ニーズ調査に基づき、教材の提供とカウンセラーや教員への助言を行っている。
  • アンティグアに避難している子どもたちは、数カ月後にバーブーダに戻ると予想されるため、バーブーダにおける、子どもの年齢に沿った心理社会ケアやレジリエンスを高めるアクティビティの開発を含む、子どもの保護サービスを改善。

英領バージン諸島

  • 学校を再開するために、教育省への技術支援および復旧支援。小学校5校と専門学校1校に発電機を提供。
  • ユニセフとパートナー団体は、最も弱い立場にある家族に対し、既存の現金給付プログラムの補足として緊急物資の提供を予定。

キューバ

  • 水と衛生および教育のイニシアティブの分野で政府と協力。

ドミニカ共和国

  • 政府および国連世界食糧計画(WFP)と協力し、社会保護制度の強化を目的に、6,000人の弱い立場にある子どもや家族を対象とした現金給付プログラムを実施予定。
  • 主要な場所において、1万1,000人近くの人々に対して、安全な飲料水への日常的なアクセスを支援。

ハイチ

  • 8万6,000人以上の人々がきれいな水へのアクセスが確保でき、脆弱なコミュニティがコレラを予防し対応できるようにするために、水道サービスの復旧を支援。
  • 1万8,000人以上の子どもたちを対象に、学校や幼稚園などに教材を提供。

弱い立場にある子どもやコミュニティに対して、特に東カリブ海諸国、ハイチおよびキューバにおいて、支援の実施には資金が必要不可欠です。ユニセフはこの地域の子どもたちに命を守る支援を提供するための資金として、930万米ドル必要としています。

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