【2018年3月8日 ベイルート(レバノン)発】
シリア難民の半数以上が女性と女の子が占め、難民家族の世帯主の40%近くを女性が占めているレバノンで、ユニセフ(国連児童基金)事務局長ヘンリエッタ・フォアと国連難民高等弁務官(UNHCR)フィリッポ・グランディは、難民の女性を保護しエンパワーするためのより強固な行動を求めました。
© UNICEF/UN0172099/Haidar |
ユニセフ事務局長と国連難民高等弁務官は、国際女性の日でありシリア紛争開始から間もなく7年を迎えるときにレバノンを訪問し、紛争から逃れ、隣国レバノンに安全を求めてきた女性たちと女の子たちから直接話を聞きました。
シリアとの国境から約30キロメートルに位置するベカー高原のバールベックにある難民居住区に暮らしている女性たちは、子どもの保護および性的暴力やジェンダーに基づいた暴力の研修を受けたグループの一員でもあり、今では他の難民に対して啓発活動をおこないコミュニティの改善に努めています。
彼女たちは、早婚および教育の不足を、最も憂慮している課題にあげました。
「国際女性の日の今日、私はすべての女性に言います。強く、自分らしく、自立し、そして自分に自信をもてるようになりなさい、と」と、シリア出身の難民で2児の母(37歳)のホルードさんは言いました。
「女性と女の子たちはシリアの悲劇と未来への希望の両方を代表しています」と国連難民高等弁務官のフィリッポ・グランディは述べました。「こうした草の根の活動は、性的暴力やジェンダーに基づいた暴力に取組むための重要なツールであると同時に、女性たちがコミュニティの福祉や和解に貢献できるようエンパワーするのです」
「シリアの危険な紛争が新たな年に突入しようとする中、子どもたちは家を失い、教育を受けられず、トラウマを負わされ続けています」とユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォアは述べました、「特に若い女の子たちは、学校に行く代わりに仕事をさせられたり結婚させられたりして、より良い将来への希望が砕かれるのを目の当たりにしています。レバノンだけでも、20歳から24歳のシリア女性の40%が、18歳になる前に結婚し、自らがまだ子どもなのに、妻になり母親になっています」
© UNICEF/UN0172101/Haidar |
シリアの人道的な悲劇は、ふるさとを追われた家族に深く刻まれ、中東・北アフリカのシリア難民の4分の3近くを占める女性と子どもに生涯にわたる、そして彼ら特有の影響を与えます。
レバノンで行われた調査によると、女性が世帯主の家庭はより脆弱で、搾取の対象となるリスクが高く、平均的に食糧が少なく、食事が劣り、貧困レベルが高く、また非公式のテント居住地に暮らす可能性が2倍近く高くなっています。
レバノンに暮らすシリア難民の4分の3以上が貧困下に暮らすなど、難民全体の脆弱性が高まる中、これらの世帯を代表しているのは、いかにして食卓に食事を用意し、子どもたちのために住む場所を確保し、彼らに保健ケアと教育を与え、子どもたちのより良い将来を実現させるかを心配する母親たちなのです。
この残虐な紛争が終わるまでは、女性たち、女の子たちが自分の持つ能力を最大限に活かすことは不可能です。現地で大規模な支援活動を展開する2つの人道支援機関を代表するグランディとフォアは、シリア国内で人々がおぞましいレベルの苦難を強いられていることに対する怒りを表明し、この血みどろの戦いを終わらせるための政治的行動とこの大規模な人類の悲劇と現場のニーズに見合う人道支援を継続して届けることを認めるよう求めました。
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