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日本ユニセフ協会
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シリア
支援を必要とする子ども600万人
特に南部で人道支援届けられず 「人道アクセスとは命を守ること」

【2018年7月19日  アンマン(ヨルダン)発】

国連安全保障理事会によるシリアに関する会合を26日に控え、ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレは、シリア全土で、必要とする子どもたちに支援を届けるための人道アクセスの許可を求める、以下の声明を発表しました。

* * *

失われた子どもたちの命

On 6 July 2018 in Jordan, Omar, 2 years, from Dera’a in Syria, in the UN-supported health clinic at the Jaber Nasib crossing point. His mother brought him to the clinic because he has a fever. The family are from Dera’a.  On 19 June 2018, an escalation of violence and fighting erupted in the southwestern Syrian governate of Dera’a resulting in the displacement of at least 270,000 people. Of these, an estimated 60,000 people fled to the Nasib-Jaber border crossing between Syria and Jordan where they are living in dire humanitarian conditions in the Free Zone – a no man’s land on the Syrian side of the border. The majority are women and children. The UN has warned that without urgent assistance to meet families’ needs, the situation could quickly deteriorate into a humanitarian catastrophe. In coordination with the Government of Jordan, the UN has been assisting families in the Free Zone with trucks of humanitarian supplies and staff deployed within 48 hours of the first arrivals on 28 June. UNICEF Jordan deployed staff and supplies, as part of the UN response, and has been operating daily to deliver urgent humanitarian assistance to women and children. Children, forced to flee horrific violence, have arrived to the border area terrified, injured and, in some cases, separated from their parents. Mothers have reported that their children are crying, clingy and scared by any loud noises. Women and children are struggling to survive and stay healthy without toilets or clean water. Children forced to live out in the open with little or no shelter are suffering severe dehydration as temperatures climb to 34ºC. UNICEF is leading the WASH response in the service area and inside the Free Zone. This assistance has included: delivery of 15 trucks of urgent WASH supplies containing jerry cans, soap and hygiene kits to the border for distribution; constructed latrines, water stands with drinking water and built a septic tank for the service area clinics and humani

© UNICEF/UN0220876/Jenkins

国連が支援するクリニックで診察を受ける2歳のジョーダン・オマール君。(2018年7月6日撮影)

シリア南部での暴力から、推定18万人が避難しました。ユニセフはその半数を子どもが占めると推定しています。報告によると、これらの子どもと家族の多くは、命を守るために必要な基本的な人道支援を受けられずにいます。

過去数年間、シリアにおける人道的アクセスは厳しく制限され、条件をつけられ、ときには完全に拒否されてきました。その結果、多くの子どもたちの命が奪われてきました。16歳のアリさんは、彼の住む地域への支援が拒否されたとき、重度の栄養不良で命を落としました。彼はこの7年半に命を落とした多くの子どもたちのうちのひとりにすぎません。

シリアで失われた多くの命は、人道支援が迅速かつ無条件で提供できていれば、簡単に救うことができたはずです。

人道的アクセスとは命を守ることです。男の子と女の子の、そして罪のない女性と男性の。それは人道的に不可欠なもので、交渉の対象ではありません。子どもに対する人道的アクセスを拒否することは、国連安全保障理事会が優先事項としている子どもの権利に対する6つの甚大な侵害のひとつにあたります。意図的あるいは 任意的に人道的アクセスを拒否した紛争当事者は、その責任を問われます。

イドリブの2つの包囲された村への人道的アクセスは、厳しく制限されてきました。約3年間の包囲の末に、ようやく子どもたちと家族が村を出てより安全な場所に移ることができるようになったとする報告を歓迎します。

支援を必要とする子ども600万人

クネイトラ郊外から避難し、滞在場所を探している家族。(2018年6月29日撮影)

© UNICEF/UN0219834/Al-Faqir

クネイトラ郊外から避難し、滞在場所を探している家族。(2018年6月29日撮影)

このような困難に直面しながらも、人道支援従事者は、シリアの最も厳しい状況にある人々に対して、命を守る重要な支援を提供し続けています。度重なる人道支援従事者への攻撃の報告は大変憂慮すべきことです。彼らは攻撃対象ではなく、いかなるときも保護されなければならないのです。

シリア全土で、600万人の子どもたちが支援を必要としています。ユニセフはこれらの子どもたちを代表して、シリアのどこにいようとも、すべての子どもたちに対する迅速な、継続的な、安全な、無条件の、妨げられることない人道的アクセスを求めます。人道的アクセスとは支援物資を届けるにとどまらず、現場での医療ケア、子どもたちの保護、保健、心理社会的ニーズを診断し、人道的状況の評価を行うことも含みます。

ユニセフは安全保障理事会のすべてのメンバー国に対して、紛争当事者に圧力をかけ続けるよう求めます。人道支援従事者と人道支援団体がシリアで保護され、無条件に活動をすることを許可すること。人道支援チームが、必要とする子どもたちに対して、彼らがどこにいようとも、また誰の管理する地域に暮らしていようとも、支援することを認めること。これらは、決して過ぎた要求ではないはずです。

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