【2018年9月14日 ジュネーブ発】
本日、国連ジュネーブ事務所の定例記者ブリーフィングで、ユニセフ(国連児童基金)ジュネーブの広報官クリストフ・ブリエラックが報告した、イエメンの子どもたちの最新状況を抜粋してお伝えします。
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© UNICEF Yemen |
紛争開始から3年以上経過したイエメンの子どもたちの状況は、悪化の一途をたどっています。イエメンでは、国内の子どもの人口の80%にあたる1,100万人以上の子どもが切実に人道支援を必要としており、この数は世界最多です。子どもたちは日々、食料不足、病気、避難生活、基本的社会サービスの欠如という脅威に直面しています。
社会サービスのほとんどが機能しておらず、国全体が崩壊寸前です。すでに脆弱な状態である水道施設、学校、医療施設などの社会インフラ施設が攻撃を受けています。生活必需品も圧倒的に不足しています
社会サービスが停止したとき、最初に苦しむのは子どもたちです。
■紛争の影響を受ける教育
イエメンでは、多くの国々と同様に、9月からが新学年が始まります。南部では9月9日に、北部では9月15日に開始されます。
紛争の最大の被害を受けているのが、子どもの教育です。イエメンの教育分野は、他の分野と同様に、終わらない紛争、紛争当事者間の政治的分断、慢性的な開発の遅れの影響をうけて、崩壊寸前にあります。
教育省のデータによれば、今月から始まる新学年に学校に通えない子どもの数は、紛争前の160万人を超える200万人と推定されます。
さらにイエメン全土では、約67%の公立学校教員が2年近く給与を支払われておらず、主に北部の州では小学生のさらに400万人が教育の機会を失う危険に晒されています。多くの教員が生活のために他の仕事を探すことを余儀なくされ、また教える科目数を減らしています。
教育の質も課題です。教員が不足しているために、子どもたちは満足に授業を受けられません。学校が機能していたとしても、1日の授業時間や、学期・年度の日数が短縮されています。
2,500校以上の学校が使えなくなっています。66%は空爆や地上戦による損傷を受け、27%は閉鎖され、7%は武装グループによって占拠されたり、あるいは避難民の仮設住居として使用されています。
イエメンのような国では、学校に通えない子どもたちはいくつかのリスクに直面します。
男の子は、武装グループに徴兵されやすい状況に置かれます。2,635人以上の子ども(すべて男の子)が武装グループに徴兵・徴用されました。女の子は、早く結婚を強いられるリスクがあります。2016年に6州で実施された調査によると、女性のほぼ4分の3が18歳になる前に、44.5%が15歳になる前に結婚していました。
学校に通わない子どもたちは、読み書きができず技術をもたないまま親となり、次の世代に貧困が受け継がれることになります。
イエメンの子どもたちは、学校に通い、質の高い教育を受けることを必要としており、その権利を持っています。子どもたちが再び学校に通い、質の高い教育を受けるためには、和平と復興が絶対に必要です。
ユニセフは、イエメン全土の教育当局に対して、すべての教員と教育関係者に直ちに給料を支払うための喫緊の解決策を見出すために、ともに協力するよう求めます。国際社会、ドナー、および開発パートナーはまた、イエメンの給与危機に対する長期的解決を見出すと同時に、教員に対する手当も支援すべきです。
■ユニセフが今年これまでに実施した教育分野における支援
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