【2019年9月11日 ジュバ(南スーダン)発】
国連の3機関は本日、南スーダンでの食料安全保障の現状について、2019年6月以降多少の改善はみられたものの、人口の半数以上の635万人が次の食事のあてもない状態にある、と発表しました。
© UNICEF/UN0338316/ |
本日ジュバにおいて南スーダン政府がユニセフ(国連児童基金)、FAO(国連食糧農業機関)および国連WFP(世界食糧計画)と共同で発表した、総合的食料安全保障レベル分類 (Integrated Food Security Phase Classification:略称IPC)の最新報告によると、南スーダンの人口の54%が、深刻な食料不安に陥っている、としています。
報告によれば、5段階のフェーズのうち、1万人が「大惨事(フェーズ5)」のレベルにあり、食料確保に非常に困窮しており、「緊急事態(フェーズ4)」の170万人、および「危機(フェーズ3)」の460万人についても深刻な食料不安にあります。
引き続き最も食料不安にある地域は、上ナイル州、続いてレイク州バハル・アル・ガザル地方です。「大惨事」レベルにある東イロール郡では、人々の命を守るため緊急人道支援が必要となっています。
食料安全保障の状況は依然として深刻なものの、最近みられた改善は、2018年9月に調印された和平協定によるところが大きいと考えられます。武力衝突が減ったことは、人々が自ら農業に戻るのを後押しし、おかげで生活手段の手立てが見つかり、市場活動も改善されることにつながったのです。政治的な安定によって、最も困難な状況にある人々への人道支援も改善してきました。
一方で、重度の急性栄養不良に陥っている5歳未満児の割合は、2018年の13%から2019年の16%に急激に増えています。これは緊急警戒レベルの15%を超えており、2020年までに130万人が急性栄養不良に陥ると推定されています。
「南スーダンで急性栄養不良児が増えていることを見れば、栄養不良がいかに複雑なものなのか、また国を壊すのに比べて立て直すにはいかに時間を要するかがわかります」と、ユニセフ・南スーダン事務所代表のモハメド・アヨヤは述べました。「この状況への対処には、パラダイムシフトが必要です。治療を拡大していく前に、まず予防の対策をしなくてはなりません。たとえば、子どもの発育段階に応じた適切な栄養摂取、マラリアや下痢の予防、清潔な水、適切な衛生環境、保健ケアへのアクセスなどです。こうした対策なしに子どもが健康に成長することはできません」
南スーダンにおける食料安全保障の状況は、これから収穫期を迎え、年末にかけて改善が期待されています。しかし、ユニセフ等は、今後450万人が危機、緊急事態、もしくは大惨事レベルの食料危機に直面し、支援を必要とすると推計しています。
■ 危機に対する支援
ユニセフと40の市民団体は、南スーダンの子どもと女性への栄養支援を行っています。現在、ユニセフは、1,150カ所の外来治療プログラムセンター、99の安定化センターを支援しています。2019年1月から7月までの間に、14万4,000人以上の重度の急性栄養不良の子どもたちが、質の高い治療を受け、そのうち90%が回復しました。さらに、適切な栄養補助食やマラリア及び下痢の予防を拡大していく予定です。
FAOは、農家100万軒を対象に、地域の条件に合った穀物の種や農機具、釣り道具の提供、現金給付支援などを進めています。加えて、畜産業を営む700万人に対し、家畜を病気などから守り、市場に参加する機会を開放する支援として、家畜への予防接種と治療をより広範に行っています。
国連WFPとそのパートナーは、最も深刻な地域への食料と現金給付支援を行い、今年これまでのところ、390万人の厳しい状況にある人々を支援しました。今後510万人まで支援を拡大する予定です。たとえば、命を救うための食料や現金の給付、地域社会の資源の開発や再建に参加する報酬としての食料提供、学校給食のための食料支援などです。国連WFPは、160万人の子ども、妊婦や授乳中の母親に対し、栄養不良の予防と治療のための物資も提供していきます。
【関連ページ】
シェアする