【2020年9月9日 ジュネーブ発】
国際航空運送協会(IATA)は、各国政府に対し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンが承認され、配布可能となった際にすべての準備が整っているように、業界関係者とともに慎重な準備を始めるよう求めました。IATAはまた、航空輸送において、COVID-19ワクチンの輸送能力が深刻に制約されるおそれがあると警鐘を鳴らしています。
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航空貨物は、時間と温度に配慮した流通システムが世界的に確立されており、平時のワクチン流通において重要な役割を果たしています。これはCOVID-19ワクチンの迅速かつ効率的な輸送・配布にも不可欠であり、各国政府が主導し、業界関係者の支援を得て慎重に計画を立てなければなりません。
施設
ワクチンは、製品の品質を確保するために、国際的な規制要件に沿って、温度管理された状態で遅滞なく取り扱われ、輸送されなければなりません。まだ多くの不明点(投与数、温度感受性、製造場所など)がありますが、活動の規模が膨大で、コールドチェーン施設が必要となり、地球上のあらゆる場所への配送が必要になることは明らかです。流通のための施設を準備するための優先事項は以下の通りです。
セキュリティ
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ワクチンは非常に貴重な商品です。輸送物が異物の混入や盗難から守られるよう手配しなければなりません。貨物輸送の安全性を確保するための手段は整っていますが、見込まれるワクチン輸送量を考慮すると、拡張できるようにするための早期の計画が求められます。
越境プロセス
保健当局や税関当局と効果的に連携することは、規制当局の承認、適切なセキュリティ対策、適切な取り扱い、税関の通過を迅速に実施するために不可欠です。これは、COVID-19予防対策の一環として、多くの政府が手続きに時間を要する対策を実施していることを考えると、特に課題となり得ます。国境手続きの優先事項には以下が含まれます。
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政府は、必要な輸送準備と調整に加えて、世界の航空輸送業界の貨物輸送能力が低下している現状を考慮しなければなりません。IATAは、旅客輸送の深刻な落ち込みに伴い、各航空会社は空路を縮小し、多くの航空機を遠隔地の長期保管庫に入れていることを指摘。世界の運航路線網は、COVID-19以前の2万4,000路線から大幅に縮小されています。ユニセフ(国連児童基金)、世界保健機関(WHO)、GAVIはすでにCOVID-19危機の間、計画された予防接種プログラムを維持するのに大きな困難が伴っていることを報告しています。この一部は、空路の縮小が原因となっています。
「全世界が安全なCOVIDワクチンを切望しています。すべての国が安全で、迅速かつ公平に初回投与量を受け取れるようにすることは、私たち全員の責務です。COVAXファシリティに代わってユニセフは、これまでで最大かつ最速のワクチン調達と供給を主導することになるでしょう。航空会社や国際的な輸送会社の役割は、この取り組みに不可欠です」と、ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。
輸送が見込まれる規模は莫大です。78億人に1回の投与量を提供するだけで、8,000機の747型貨物機が満杯になります。陸上輸送は、特に現地で製造能力のある先進国では助けになるでしょう。しかし、航空貨物を大規模に利用しなければ、ワクチンを世界規模で配送することはできないでしょう。
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