【2021年6月10日 ローマ/ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)、国連食糧農業機関(FAO)、国連世界食糧計画(国連WFP)は、エチオピア北部で深刻化している急性食料不足に対処するため、緊急の行動を呼びかけています。特にティグライ州では、食料や生活支援、その他の命を守る支援が引き続き拡大され、制限のないアクセスが保証され、敵対行為が止まない限り、飢きんに陥る危険が差し迫っている状況を懸念しています。
© UNICEF/UN0445189/Ayene |
本日発表された最新の総合的食料安全保障レベル分類(IPC)分析によると、ティグライ州ではすでに35万人以上が壊滅的な状況(IPCフェーズ5:大惨事)に直面しています。ひとつの国でIPCの5段階のうち最も深刻なフェーズ5に分類される人々の数としては、過去10年間で最多です。
ティグライ州および隣接するアムハラ州、アファール州では、人口の60%以上、550万人以上の人々が、深刻な急性食料不安(IPC フェーズ3~5)に苦しんでいます。そのうち200万人は、IPCフェーズ4(緊急事態)の段階にあり、早急に対策を講じなければ、すぐに飢餓状態に陥る可能性があります。
特にティグライ州では、9月にかけて急性食料不安が深刻化すると予想され、緊急にかつ制限なく支援が行えなければ、40万人以上が壊滅的な状況(IPCフェーズ5:大惨事)に直面すると予測されています。
© UNICEF/UN0412579/Leul Kinfu |
ユニセフはじめ国連機関は、紛争が拡大し、人道支援が著しく妨げられた場合、ティグライ州で飢きんが発生するリスクを特に懸念しています。また、同州西部の人々の食料の状況に関する信頼できる包括的なデータがないことも、深く憂慮しています。
ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは、「ユニセフは、ティグライ州全土の状況を非常に懸念しています。さらに多くの乳幼児が栄養不良から病気や命の危険に晒されています。私たちはパートナーと協力して、栄養、保健ケア、清潔な水の支援を行っていますが、支援を拡大するための人道的アクセスがなければ、現在立ち入りが困難な地域にいる推定3万3,000人の重度の栄養不良の子どもたちの命が危険です。世界はこのような事態を許してはなりません」と述べています。
© UNICEF/UN0409572/Leul Kinfu |
IPC報告書によると、ティグライ州の急性食料不安の主な原因は、大規模な人口移動、生活基盤や重要なインフラの広範な破壊、雇用の喪失などが、紛争によって引き起こされたことにあり、市場へのアクセスもまた制限されています。
紛争が拡大すれば、より多くの人々が家を追われ、食料の配給やその他の食料・生活手段を手に入れられなくなる可能性があると報告書は指摘しています。
紛争の影響を受けているティグライ州は、人口の70%にあたる400万人が高いレベルの食料不安(IPCフェーズ3:危機以上)に陥っており、最もリスクの高い地域となっています。また、ティグライ州からの国内避難民を多く受け入れているアファール州とアムハラ州の隣接地域でも、それぞれ人口の60%(45万人以上)と41%(100万人以上)が高いレベルの急性食料不安に陥っています。
© UNICEF/UN0418393/Ayene |
栄養分野の活動を主導する機関であるユニセフは、ティグライ州の7地域すべてで栄養支援を拡大しており、重度の消耗症に苦しむ子どもたちを早期発見するための検査と治療に重点を置いています。2月以降、5歳未満児25万人が消耗症の検査を受け、そのうち7,000人以上が治療のために入院しました。
補足:
【関連ページ】
シェアする