【2021年7月1日 ベイルート(レバノン)発】
ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した報告書『レバノン-危機に瀕する子どもたちの未来(原題:Lebanon : Children’s future on the line)』は、近年で世界最悪の経済崩壊のひとつにより、その影響の矢面に立たされているレバノンの子どもたちの状況を報告しています。
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壊滅的な不況をはじめとする一連の危機が重なり、それらの影響がさらに強まる中、レバノンの家族と子どもたちは、生活のあらゆる側面で影響を受け、資源はほとんどなく、社会的支援もほとんど受けられないという悲惨な状況に置かれています。
「レバノンでは、一向に改善の兆しがないまま、かつてないほど多くの子どもたちが、空腹のまま眠りについています。物価が急騰し、失業率が上昇し続けているため、子どもたちの健康、教育、そして将来に影響が出ています。子どもたちを危険な仕事に就かせたり、幼い娘を結婚させたり、家財を売ったりするなど、悲観的な対処法に頼らざるを得ない家庭がいっそう増えています」とユニセフ・レバノン事務所代表の杢尾雪絵は述べました。
ユニセフが最近実施した調査*によると、
© UNICEF/UN0360084/Choufany |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響や2020年8月のベイルート港湾地区における大爆発の余波を受け、政治的にも不安定な状態が続くレバノンでは、長引く経済不況は複合的危機のひとつに過ぎません。レバノンで暮らす150万人のシリア難民が最も大きな打撃を受けていますが、支援を必要としているレバノンの人々の数も急速に増えています。
「世界銀行は、レバノンで起きていることを、19世紀半ば以降に起きた経済崩壊のトップ3に入る可能性があると述べています。ユニセフの調査で明らかになったのは、子どもたちがこの拡大し続ける大惨事の矢面に晒されているということです」(杢尾)
ユニセフは、社会的保護を大幅に拡大し、すべての子どもが質の高い教育を受けられるようにし、そしてプライマリ・ヘルスケアと子どもの保護サービスを強化するよう、レバノン政府当局への呼びかけを強めています。
「特に、貧困のスパイラルに陥っている最も困難な状況にある人々の苦しみを和らげるためには、決意を持った協調的行動が不可欠です」と、杢尾は訴えています。ユニセフはプログラムを拡大しており、ドナーの支援を得て、より多くの子どもたちや家族を支援する体制を整えています。「どのような状況下でも子どもたちの権利が守られるようにするためには、彼らの幸福と安全を最優先にしなければなりません。子どもたちは、栄養不良に陥ったり、学校に行けなかったり、健康を害したり、虐待や暴力、搾取の危険に晒されたりしてはなりません。子どもたちへの投資は、国の将来に対する究極の投資なのです」(杢尾)
*ユニセフが最近実施した調査:ユニセフの子どもに焦点を当てた簡易調査は、2021年4月に1,244世帯を対象に電話で実施されました。
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© UNICEF/UNI366056/Choufany |
ユニセフは、レバノンにおける経済危機、COVID-19の影響、ベイルートの爆発事故後の影響への対応をふまえ、大きな課題に直面しながらも、レバノンの子どもたちに支援を届けています。下記はその活動の一部です。
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