【2021年7月22日 プレトリア(南アフリカ共和国)発】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まって以来、教育の混乱がもたらした影響は甚大で、最新の統計によると、南アフリカ共和国の生徒たちは本来の学習進度と比べて75%から1学年分も遅れてしまっています。交代制の時差通学、散発的な学校閉鎖などにより、生徒たちは学習時間の54%を失っています。
© UNICEF/UNI363452/Schermbrucker |
また、過去16カ月間に40万から50万人もの生徒が学校を中途退学したと報告されています。これは、都市部の非公式居住区や農村部で暮らす子どもたちに多く見られ、家庭の貧困も大きく影響しています。現在、学校に通っていない子どもたちの総数は75万人に上っています。
ユニセフ(国連児童基金)・南アフリカ事務所代表のクリスティーン・ムヒガナは、「南アフリカは、もうひとりの生徒も、1時間の学習時間も失うことはできないというのが現実です。すべての子どもたちを安全に、今すぐ教室に戻すことが急務です」と述べています。
学校に通えないことは、学習能力の低下だけでなく、精神的苦痛、暴力や虐待に遭うリスク、学校給食の喪失、社会的スキルの発達の低下などにもつながります。長期的には、社会で働くために必要なスキルにも影響が出てきます。また子どもが学校に通っていない場合、女性が育児の責任を負う可能性は2倍になり、仕事をしたり仕事を探したりすることができなくなるという証拠もあります。
COVID-19の流行が始まった後、交代制の授業のほかオンライン・ラジオ・テレビを使った授業など様々な方法を組み合わせた教育方法への移行が迅速に進みました。
© UNICEF/UNI363430/Schermbrucker |
しかし、「一部の子どもたちにとっては命綱となるこうした遠隔学習さえ、南アフリカの厳しい状況にある子どもたちにとっては、手の届かないものでした」とムヒガナは述べました。オンライン学習に必要な機器、データ、スキルは、多くの子どもたちは持ち得ないものです。「私たちは、弱い立場にある子どもたちが学校で学べるよう、優先的に取り組む必要があります」
南アフリカでは、昨年のロックダウンの際に2,000校以上の学校が略奪の被害に遭い、最近ではクワズール・ナタール州とハウテン州での暴動で140校以上の学校が破壊されました。これ以上教育システムが揺るがされてはなりません。
すべての子どもたちの学習を継続するために、ユニセフは基礎教育局とパートナーとともに以下のような取り組みを支援しています。
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