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日本ユニセフ協会
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南アフリカ教育危機
パンデミック開始以降40~50万人が退学 暴動による学校破壊も追い打ち

【2021年7月22日  プレトリア(南アフリカ共和国)発】

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まって以来、教育の混乱がもたらした影響は甚大で、最新の統計によると、南アフリカ共和国の生徒たちは本来の学習進度と比べて75%から1学年分も遅れてしまっています。交代制の時差通学、散発的な学校閉鎖などにより、生徒たちは学習時間の54%を失っています。

40万から50万人の生徒が学校を中途退学

ヨハネスブルクにある学校で理科の授業を受ける生徒たち。約3カ月の休校から、学校に戻ることができた。(2020年8月撮影)

© UNICEF/UNI363452/Schermbrucker

ヨハネスブルクにある学校で理科の授業を受ける生徒たち。約3カ月の休校から、学校に戻ることができた。(2020年8月撮影)

また、過去16カ月間に40万から50万人もの生徒が学校を中途退学したと報告されています。これは、都市部の非公式居住区や農村部で暮らす子どもたちに多く見られ、家庭の貧困も大きく影響しています。現在、学校に通っていない子どもたちの総数は75万人に上っています。

ユニセフ(国連児童基金)・南アフリカ事務所代表のクリスティーン・ムヒガナは、「南アフリカは、もうひとりの生徒も、1時間の学習時間も失うことはできないというのが現実です。すべての子どもたちを安全に、今すぐ教室に戻すことが急務です」と述べています。

学校に通えないことは、学習能力の低下だけでなく、精神的苦痛、暴力や虐待に遭うリスク、学校給食の喪失、社会的スキルの発達の低下などにもつながります。長期的には、社会で働くために必要なスキルにも影響が出てきます。また子どもが学校に通っていない場合、女性が育児の責任を負う可能性は2倍になり、仕事をしたり仕事を探したりすることができなくなるという証拠もあります。

COVID-19の流行が始まった後、交代制の授業のほかオンライン・ラジオ・テレビを使った授業など様々な方法を組み合わせた教育方法への移行が迅速に進みました。

暴動による学校破壊も追い打ち

ヨハネスブルクの農村部にある非公式居住区の自宅で、ノートパソコンを使ってオンライン授業を受ける18歳の女の子。(2020年8月撮影)

© UNICEF/UNI363430/Schermbrucker

ヨハネスブルクの農村部にある非公式居住区の自宅で、ノートパソコンを使ってオンライン授業を受ける18歳の女の子。(2020年8月撮影)

しかし、「一部の子どもたちにとっては命綱となるこうした遠隔学習さえ、南アフリカの厳しい状況にある子どもたちにとっては、手の届かないものでした」とムヒガナは述べました。オンライン学習に必要な機器、データ、スキルは、多くの子どもたちは持ち得ないものです。「私たちは、弱い立場にある子どもたちが学校で学べるよう、優先的に取り組む必要があります」

南アフリカでは、昨年のロックダウンの際に2,000校以上の学校が略奪の被害に遭い、最近ではクワズール・ナタール州とハウテン州での暴動で140校以上の学校が破壊されました。これ以上教育システムが揺るがされてはなりません。

すべての子どもたちの学習を継続するために、ユニセフは基礎教育局とパートナーとともに以下のような取り組みを支援しています。

  • 保護者やコミュニティ・リーダーの学校活動への参画を推進することで、地域全体で学校を支え、子どもたちの学校生活を守る
  • 子どもにやさしいCOVID-19対策の手順や規定を守り、子どもや教師、学校職員の安全を可能な限り確保する
  • 教育関係者の新型コロナワクチン接種率をさらに高める
  • 適切な設備のない学校に400カ所の手洗い場を設置した実績を基に、すべての子どものための手洗い設備の整備や衛生習慣の啓発をさらに促進する
  • 生徒たちが遅れを取り戻せるよう効果的な補習プログラムを推進し、その規模を拡大する
  • COVID-19や最近の暴動によるストレスに対処できるよう、子どもたちや学校職員が心理社会的支援を受けられるようにする

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