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財団法人日本ユニセフ協会

UNITE FOR CHILDREN UNITE AGAINST AIDS

ジャネットさんの苦しい日々

[2006年3月6日 ルワンダ キガリ発]

■ 2年前の衝撃

2年前、妊娠していたときにジャネットさんはHIV感染していると知らされました。彼女は窓からキガリにあるキクキロ保健センターを見つめています。そこで母子感染予防ための医療的、心理的サポートを受けているのです。 
© UNICEF Rwanda/2005/Lewnes

ジャネットさんがHIVの感染を知ったのは、2年前、一番下の子どもを妊娠している時でした。 「HIVに感染していると分かったとき、泣きも叫びもしなかった。ただ怖ろしかった。看護師さんが病気の説明をしてくれたけど、あの時は、自分は死んでいくんだとしか考えられなかった。エイズで死んだ人を知っていたけど、まさか自分の身に起こるなんて…」 ひとつだけ幸運だったことは、ジャネットさんは、診断を受けたキクキロ保健センターで、すぐに母子感染予防プログラムに参加することができたことでした。

■ HIVに感染した妊婦へのケア

6ヵ月にわたってジャネットさんは、カウンセリングと、妊婦の健康、安全な出産、育児についての教育を受けました。彼女は抗レトロウィルス薬のほかに、妊娠している間の栄養を維持・改善するための栄養補助食品をとり続けました。 ルワンダでは、推定で産科クリニックに来る妊婦の約8%がHIVに感染しています。そして、年間、約2万3,000人の新生児が母子感染によってHIVに感染しています。 母親に抗レトロウィルス薬を投与し、安全な出産に関する教育や代替乳育に関するカウンセリングによって、帝王切開など完全な母子感染予防ケアができないとしても、HIVの母子感染を50%以上抑えることができます。ユニセフは、少しでも母子感染ケアを進めるため、保健センターへの支援を続けています。キクキロ保健センターには、ジャネットさんのような妊婦さんが毎月約120人訪れています。

■ 夫に受け入れられず

ジャネットさんは、自分がHIV陽性であるという事実を、どのように夫にわかってもらうか、カウンセリングを受けました。けれども、ジャネットさんが夫にHIVに感染したことを伝え、夫にも検査を受けるように話すと、夫は拒絶しました。「夫は別の女性と家を出て行ったの。でもその女性も病気になって、夫は戻ってきたわ」

ジャネットさんは、保健センターで無事、赤ちゃんを出産しました。
生後18カ月目、赤ちゃんはHIVに感染していないことが判明しました。

■ たったひとりが・・・

でも、これでジャネットさんの辛い日々が終わったわけではありませんでした。 その後の検査で、ジャネットさんの5人の子どものうち、6歳になる男の子が、たったひとり、HIVに感染してしまったことが分かったのです。 いま、ジャネットさんは、その息子と一緒に保健センターに治療に通っています。 子どもにHIV感染の事実を告げることは、医師や看護師であっても簡単なことではありません。母親のジャネットさんにとってはなおさら酷なことです。 「息子の薬をもらいに来るときも、息子には、これは頭の皮膚病の薬だと話しているの。とても本当のことは言えません。どうやってそのことを話したり、相談にのったりできるというの?家族の中でHIVに感染してしまった、たったひとりの子どもなの。自分がそのたったひとりになってしまったことを、どうしたらあの子が理解できるというの?」

■ HIV/エイズと共に生きるつらさ

ジャネットさんにとって、一番辛いことは孤立だといいます。
「HIVについての知識も薬もあります。でも、コミュニティの中で生きていくことには不安を感じるの。自分が感染していることに引け目を感じたり、自分が人間じゃないみたいに思うこともあるわ。母親にだけ話したのに、コミュニティの人はみんな知っている。受け入れてくれる人もいれば、そうでない人もいるわ」

 
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