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財団法人日本ユニセフ協会

UNITE FOR CHILDREN UNITE AGAINST AIDS

[2006年2月27日 ジンバブエ マブユク発]

■ ズバンヤザさんを襲った悲劇

ズバンヤザ・ンジャンジさんは自分がHIV陽性と気づく前に、3人の子どもを失いました 
© Alexia Lewnes/UNICEF ESARO/2005

ズバンヤザ・ンジャンジさんが再婚したのは3年前。未亡人となって1年半、幼い子どもたちをかかえて、生活苦の極まっていたズバンヤザさんにとって、再婚はとてもありがたい話でした。
希望にあふれた新しい生活が始まり、元気な子どもの誕生を夫婦で心待ちにしていた中、ズバンヤザさんを悲劇が襲いました。
最初の夫との間に生まれた末の子どもが亡くなったのです。
悲しみにくれるズバンヤザさんをさらに打ちのめす事態が襲います。
同じ年に、待ち望んでいた新しい夫との間の赤ちゃんを亡くしたのです。さらに翌年、相次いで授かったもうひとりの赤ちゃんさえもが亡くなってしまいました。
「3人も子どもをなくしたの」 話しながら、ズバンヤザさんの目から大粒の涙がこぼれます。

「何かがおかしい、と思っていたけれど、それが何なのか分からなかった。あまりに辛くて、とうとう私まで病気になったの。何もかもがだめになって、夫にも捨てられたわ」

■ 知らないうちに子どもにHIVを・・・

実は、ズバンヤザさんは、自分でもHIVの感染を知らないまま、3人の子どもにHIVを感染させてしまっていたのです。

「わたしは3人ともクリニックで生んだのに、一度として私がHIVに感染していると言われたことはなかったのよ。そのことが何よりもつらかった。母乳からの感染を防ぐ方法について教えてもらうこともできなかった。ちゃんと知ってさえいれば、子どもを救うことができたのに。そう思うと、本当に悔しくて、悔しくて・・・」

悲しいことに、ズバンヤザさんのような話は、ジンバブエでは珍しいものではありません。 お母さんがHIVに感染していることを知らないがために、赤ちゃんがHIV感染の危険にさらされるのです。ジンブバブエでは、推定で毎日100人の新生児が母子感染によってHIVに感染しています。これは15分にひとりという割合です。 「母子感染を防ぐ方法があるにも関わらず、恐ろしいほど多くの赤ちゃんがHIVに感染させられ続けているこの現実は、とうてい受け入れられるものではありません」ユニセフ・ジンバブエ事務所代表のフェスト・カビシェは語気も荒く、この現状を訴えます。

■ ジンバブエに一刻も早く母子感染予防プログラムを

HIVの母子感染は適切な治療とケアを受けられれば98%予防することができます。 ユニセフは、この悲劇を少しでも減らすため、ジンバブエ政府と協力し、カウンセリングやHIV検査に携わる保健員の養成や医薬品を提供など、母子感染予防プログラムを広める努力を続けています。 しかし、深刻な資金不足のため、母子感染予防プログラムは一部の地域でしか行われていません。まだ何の支援も受けられないお母さんたちが大勢いるのです。 カビシェ代表は訴えます。「プログラムの基本的な構造はすでにあります。ジンバブエの何万人もの女性や未来の子どもを助ける技術や知識はここにあるのです。でもれそれを広める資金がありません。何よりも国際社会の協力が必要です。何も対策を講じず、ジンバブエの子どもたちをこれ以上苦しめることは許されることではありません」

 
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